『都市芸研』第一輯/ネット時代の中国現地調査術

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ネット時代の中国現地調査術

千田 大介

経済発展著しい中国では、かつて明治期の日本がそうであったように、一足飛びに海外の最新技術を導入し、最新水準のインフラが整備される傾向がある。情報通信インフラも然り。例えば、日本ではようやくNTTが導入に動き始めたIP電話が、中国では長距離電話の標準システムとなっている。もちろん、インターネットも目を見張るほどの大発展を遂げている。そんなところに巻き起こったのが1999年の「黄金週」創設に始まる中国の国内旅行ブームで、日本のGW・帰省ラッシュさながらの民族大移動が繰り広げられることとなった。こうして旅行市場が一気に拡大すると、折からのIT化の流れとあいまって、さまざまな旅行サイトが花開くこととなった。

中国国内の交通機関情報は、従来日本からのアクセスが困難だった。鉄道のダイヤは中国書籍店で輸入されているが、同じ路線でも特急・急行・普通で掲載ページが異なっているなど、非常に使いづらい。しかし現在では、鉄道部(http://www.chinamor.cn.net/)の検索システムで簡単に鉄道ダイヤを検索できる。また、高参網(http://www.gaocan.com/)では、乗車駅と下車駅を入力すれば、複数路線の乗り換え経路を検索することもできる。中国国内線航空便も、以前は、東京のCAのオフィスでしか国内線ダイヤを入手できなかったが、現在では中国民航信息網(http://www.caac.cn.net/)で、民航各社の国内線・国際線航空便を検索することができる。チケットのオンライン予約は執筆時点ではまだ困難だが、信天遊(http://www.travelsky.com:8080/)のようなサイトも出現しているので、やがて解決されることだろう。

交通機関とともに問題になるのがホテルの確保だ。従来、中国のホテルを予約するには、旅行ガイドブックを見ながら長途電話をかける、日本の旅行代理店あるいは中国国際旅行社を利用するか、それともいっそのこと飛び込みで宿を確保するしかなかった。しかし、今や日本に居ながらにして中国各地のホテルをネット上で予約できるようになった。確実に宿舎が確保できるだけでなく、料金は飛び込みに比べて3~5割程度安い。値引率自体は、JHC(http://www.jhchotel.com/)などの国内の海外ホテル予約サービスと大差ないのだが、地方都市を網羅し、三星級以下の安宿も予約できるというメリットがある。

筆者がよく利用するのは、中国のオンライン旅行サイトの最大手、携程旅遊網(http://www.ctrip.com/)である。システムは旅の窓口(http://www.mytrip.net/)とほぼ同じで、インターネットを通じてホテルを検索・予約し、料金はホテルの窓口で精算する。筆者は二三度利用したが、いずれも何ら問題なく割引料金で宿泊できた。

このように、中国の急速な情報化によって現地調査もだいぶんやりやすくなった。その一方で、急速が観光開発は地域文化の商品化、ひいては演劇をはじめとする伝統文化の変質をもたらしていることには、充分注意する必要がある。