『都市芸研』第二輯/2002年度山西省現地調査報告

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2002年度 山西省現地調査報告

前言

氷上 正

以下は、2002年度~2004年度文部科学省補助金(基礎研究(B)(1)・課題番号14310204)によるプロジェクト「近代北方中国の芸能に関する総合的研究-京劇と皮影戯をめぐって-」の一環として、2002年8月後半に中国山西省で現地調査をおこなった、その報告である。現地調査に参加したメンバーは、研究代表者・氷上正、研究分担者・千田大介、二階堂善弘、研究協力者・山下一夫、戸部健の五人である。

今回の調査は、山西省中部、孝義市の皮影戯などを主要な対象とした。具体的には、山西省戯劇研究所における文献調査、孝義皮影戯の影人作家である侯丕烈氏および老芸人である梁全民氏へのインタビューを行った。また、孝義市当局の計らいで「孝義市木偶碗碗腔専場文芸晩会」に出席する機会を得、伝統劇の上演形態を詳細に見学することができた。さらに、孝義市皮影木偶芸術博物館では博物館長の案内で展示物の説明を受けるとともに、木偶戯・皮影戯を上演していただき、映像資料に記録した。

皮影戯は、嘗て中国各地の都市や農村で広く流行していたが、20世紀に入って次第に廃れ、さらにここ十数年の急激なメディアの変革によってほとんど壊滅的な状況になってきている。中国の説唱芸能や伝統演劇の演目・様式に対する、皮影戯の影響は決して小さいものでなかったと思われるが、残念ながらその調査研究はわずかなものであった。

現在、嘗ての皮影戯の状況を知る芸人は数少なくなっており、ただちに皮影戯に関する調査に取りかからなければ、中国芸能史において皮影戯が果たした重要な役割が歴史の中に埋もれてしまう恐れがある。こうした意味合いにおいて、このプロジェクトにおける我々の調査研究報告は、これからの中国芸能史研究への貴重なる資料となるであろう。

山西省現地調査日程 2002年8月18日~8月25日

戸部 健

8月18日(日)

  • 午後 空路、太原へ
  • 太原泊

8月19日(月)

  • 午前 山西省戯劇研究所訪問
  • 午後 資料収集
  • 太原泊

8月20日(火) 

 氷上・千田・山下・戸部

  • 午前 陸路、孝義へ
  • 午後 侯丕烈氏聞き取り調査
  • 平遥泊

 二階堂

  • 終日 平遥にて宗教施設調査
  • 太原泊

8月21日(水)

 氷上・千田・山下・戸部

  • 午前 介休市内にて古戯台を調査
  • 午後 孝義にて梁全民氏・侯丕烈氏聞き取り調査
  • 夜  「孝義市木偶碗碗腔専場文芸晩会」出席
  • 平遥泊
http://wagang.econ.hc.keio.ac.jp/~chengyan/images/02sx2.png
介休玄神楼戯台
http://wagang.econ.hc.keio.ac.jp/~chengyan/images/02sx1.png
孝義市木偶碗碗腔専場晩会

 二階堂

  • 終日 五台山にて宗教施設調査
  • 五台山泊

8月22日(木) 

 氷上・千田・山下・戸部

  • 午前 孝義市皮影木偶芸術博物館見学
  • 午後 同博物館にて皮影戯・木偶戯を観劇
  • 平遥泊

 二階堂

  • 終日 五台山にて宗教施設調査
  • 太原泊

8月23日(金) 

 氷上・千田・山下・戸部

  • 午前 平遥にて演劇施設調査
  • 午後 太原にて資料収集
  • 太原泊

 二階堂

  • 午前・午後 太原市内にて宗教施設調査
  • 太原泊

8月24日(土)

 氷上・千田・山下・戸部

  • 午前 資料収集
  • 午後 山西省戯劇研究所訪問
  • 太原泊

 二階堂

  • 午前 空路、北京へ

8月25日(日) 

 氷上・千田・山下・戸部

  • 午前 空路、北京へ

本稿は、日本学術振興会科学研究費・基盤研究B「近代北方中国の芸能に関する総合的研究―京劇と皮影戯をめぐって―」(2002~2003年度・課題番号14310204)による成果の一部である。