『都市芸研』第五輯/2006年夏期陝西・河南現地調査の日程と概要

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2006年夏期陝西・河南現地調査の日程と概要

氷上 正

はじめに

2006年度夏期も昨年までに引き続き華北地域の伝統芸能に関する現地調査を実施した。今回は調査の重点を陝西省関中平野の周縁地域に置き、西安を拠点に陝西省の岐山県・郃陽県・洛川県および河南省霊宝県の皮影戯・木偶戯を対象に選んだ。

調査先はいずれも西安から数時間の移動を必要とし、期間中は晴天が少なく時に悪路に悩まされることもあった。疲労のため一時体調をくずすメンバーも出たが、さいわい大事には至らず調査を終えることができた。

現地調査は、聞き取り調査そのものだけでなく、実際に現地の気候や風土、社会・経済の状況を体感できることにメリットがある。今回の調査でも、洛川県への道中、山陰から忽然と巨大なコンビナートが姿を現し、近年、石油成金を輩出しているという陝北石油資源開発の現状を目の当たりにすることができた。また岐山県の名物である手打ちの細麺に唐辛子と酢をきかせた汁を張った「哨子麺」や、洛川県の窯洞を利用した食堂で出された豚の血の腸詰めなどの食事は、地元ならではの風味でり、調査のエネルギーともなってくれた。

陝北の石油コンビナート

今回の調査に参加したのは、氷上・千田・山下・戸部・川の五名である。また、現地調査にあたり各地の劇団・芸人との連絡手配を、昨年までに引き続き陝西省民間芸術劇院の楊飛・李淑文夫妻にお願いするとともに、すべての調査にご同行いただいた。そればかりか、現地調査の後にはご自宅を訪問して、所蔵の影人や影人制作用の彫刻刀を写真撮影させていただいた。影人の写真撮影には強力なバックライトをあてる必要があるため、調査隊は西安市内を西に東に探し求めた末、屋外照明用の水銀灯を入手、無事に撮影を完了した。ご高齢にもかかわらずこれらの煩瑣な作業にも快く応じてくださった夫妻に、あらためて感謝したい。

日程

8/23氷上・千田・山下・川成田空港より北京経由で西安に移動。
戸部北京より西安に移動。
8/24午前:車にて陝西省岐山県何家村に移動。
午後:王雲飛皮影団上演見学・撮影。王雲飛氏へのインタビュー。
8/25終日:西安市内にて文献・映像資料の調査・収集。
8/26午前:車にて陝西省洛川県に移動。
洛川民俗博物館にて陝西省洛川県民間業余皮影芸術団の上演見学・撮影、老芸人へのインタビュー
午後:皮影戯上演見学・撮影、民俗博物館所蔵民俗資料調査・見学。
※千田は28日にかけて、体調不良のため西安市内にて休養。
8/27午前:車にて河南省霊宝県に移動。
午後:霊宝県道情皮影戯上演の見学・撮影、芸人へのインタビュー。
8/28終日:西安市内にて資料収集。
8/29午前:車にて陝西省郃陽県郭家坡に移動。
午後:陝西省郃陽線腔木偶劇団の提線木偶戯上演を見学・撮影、同劇団団長・郭崔成氏へのインタビュー
8/30千田・山下・川終日:楊飛夫妻宅で皮影戯関連博物資料撮影
氷上終日:西安市内にて文献資料収集
戸部終日:陝西省図書館にて文献資料調査
8/31千田・山下・戸部・川終日:楊飛夫妻宅で皮影戯関連博物資料撮影
氷上終日:西安市内にて文献資料収集
9/1午前:北京へ移動
何家村関帝廟 中に道士らしき人物が寝泊まりしていた。
郃陽県郭家坡戯台 元代の創建

*本稿は、日本学術振興会科学研究費・基盤研究B「近現代華北地域における伝統芸能文化の総合的研究」(2005~2006 年度、課題番号:17320059、研究代表者:氷上正)による成果の一部である。