『都市芸研』第十六輯/2017年度夏期現地調査の概要

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「近現代中華圏の伝統芸能と地域社会」2017年度夏期現地調査の概要

氷上 正・千田 大介・山下 一夫

中国都市芸能研究会では、2015年度より科学研究費補助金(基盤研究(B))「近現代中華圏の伝統芸能と地域社会~台湾の皮影戯・京劇・説唱を中心に」(研究課題番号:15H03195、研究代表者:氷上正)の助成を受けて、台湾を中心に広く中華圏の皮影戯・京劇・説唱などの伝統芸能と、それらを取り巻く地域社会を考究するプロジェクトを立ち上げている。

研究3年目となる2017年度は、8月に「いいだ人形劇フェスタ2017」において来日公演を行った永興楽皮影劇団、および特別展「影絵in台湾」を行った高雄皮影戯館スタッフに同行し、上演状況や展覧内容の調査を行った。

続いて9月には台湾で現地調査を実施した。前年度までの調査を受け、高雄では永興楽皮影劇団に同行し、合計3ヶ所で中元節上演の調査と、関係者へのインタビューを行ったほか、高雄皮影戯館で文献資料の調査や関係者との面会、台南の文物調査なども精力的に行った。また台北では偶戯博物館や大稲埕戯苑を訪問して人形劇および相声に関する調査を進め、さらに関連する文献資料の複写・購入なども精力的に行った。 また、いずれの地域においても、上演活動と密接な関わりを持つ寺廟について、調査を実施した。

1.高雄永興楽皮影劇団訪日公演同行調査

7/29千田・山下終日:東京より長野県飯田市へ移動。川本喜八郎人形美術館にて高雄皮影戯館スタッフと展覧の打合せ。
7/30千田・山下終日:川本喜八郎人形美術館にて高雄皮影戯館特別展の準備。
7/31千田・山下午前:川本喜八郎人形美術館にて高雄皮影戯館特別展の準備。午後:高雄皮影戯館スタッフとともに白樺湖「世界の影絵きり絵美術館」を見学。
8/1千田・山下午前:永興楽皮影劇団と合流、上演準備を見学。午後:展覧開幕式に参加、中国語通訳を担当し、さらに開会式来賓への展示の案内・解説を行った。
氷上午前:東京より陸路、長野県飯田市へ。午後:高雄皮影戯館特別展を見学。
8/2氷上・千田・山下午前:永興楽皮影劇団・高雄皮影戯館スタッフとともに川本喜八郎人形美術館にて上演会場設営を行った後、11時から影絵人形劇1回目の上演(飯田での上演演目はいずれの日程も『サンドバッグにまつわる三つの物語』および『火炎山』)、字幕を担当。午後:川本喜八郎人形美術館にて飯田文化会館スタッフと打合せ、15時から同演目2回目の上演、同じく字幕を担当。
8/3氷上・千田・山下午前:永興楽皮影劇団・高雄皮影戯館スタッフとともに下伊那郡平谷村に移動、上演会場設営。午後:平谷村にて影絵人形劇上演、字幕を担当し、また人形体験ワークショップで中国語通訳を行う。終了後、飯田市内に戻る。
8/4氷上・千田・山下午前:永興楽皮影劇団・高雄皮影戯館スタッフとともに飯田文化会館にて人形劇『山椒魚』の公演を観賞。
氷上午後:東京へ移動。
千田・山下午後:永興楽皮影劇団・高雄皮影戯館スタッフとともに飯田市内の水引工場を見学、中国語通訳を担当。
8/5千田・山下午前:永興楽皮影劇団・高雄皮影戯館スタッフとともに飯田市竜丘地区へ移動、上演会場設営。午後:竜丘地区にて影絵人形劇上演、字幕を担当し、また人形体験ワークショップで中国語通訳を行う。終了後、飯田市内に戻る。
8/6千田・山下終日:東京へ移動。
上演会場設営(川本喜八郎人形美術館)
展覧開幕式
平谷村にて
影絵人形劇上演(竜丘地区)
人形体験ワークショップ(竜丘地区)

2.夏期台湾現地調査

9/1氷上終日:東京より台北へ移動。
千田・山下終日:東京より台北を経由して高雄へ移動。
9/2千田・山下午前:高雄皮影戯館にて高雄皮影劇団の後継者養成ワークショップを見学。台南へ移動し、奇美美術館を見学。午後:台南市内にて天后宮・武廟を見学、また普済廟の碑文を調査、さらに北極殿を見学し、高雄市内に戻る。
氷上終日:台北の偶戯博物館、及び大稲埕戯苑にて上演調査、関連資料調査。
9/3千田・山下午前:高雄皮影戯館にて東華皮影劇団の張能傑氏、小飛鳳布袋劇団の林義淵氏と懇談、錦飛鳳劇団による南台湾傀儡『飛瓦伝奇』を観賞。午後:高雄皮影戯館にて台湾芸術大学の石光生氏と懇談。また、現地の大学生のインタビューを受ける。
氷上終日:台北の偶戯博物館、及び大稲埕戯苑にて上演調査、関連資料調査。
9/4千田・山下午前:高雄皮影戯館にて文献資料調査。午後:美濃区へ移動、高雄皮影戯劇団団長の陳政宏氏を訪問。
氷上台北より高雄へ移動。
9/5氷上・千田・山下終日:林園区の赤崁保安宮にて永興楽皮影劇団の中元節上演(高雄での上演演目はいずれの日程も扮仙戯・『状元拝相』・『李那吒鬧東海』)を調査。
9/6氷上・千田・山下終日:林園区の汕尾北極殿にて永興楽皮影劇団の中元節上演を調査。
9/7氷上・千田・山下終日:高雄市内にて資料収集。
9/8千田・山下午前:大社郷の林義淵氏の工作坊にて、張能傑・林義淵両氏を訪問、所蔵資料を調査。午後:嶺東科技大学の邱一峰氏と懇談。
氷上終日:高雄より台北へ移動。
9/9千田・山下終日:林園区漁会にて永興楽皮影劇団の中元節上演を調査。
氷上終日:台北の偶戯博物館、及び大稲埕戯苑にて上演調査、関連資料調査。
9/10千田・山下午前:高雄より台北へ移動。午後:台北市内にて資料収集。
氷上終日:台北の偶戯博物館、及び大稲埕戯苑にて上演調査、関連資料調査。
9/11氷上台北より帰国。
千田・山下終日:台北市内にて資料収集。
9/12千田終日:台北市内にて資料収集。
山下終日台北市蘆州の博揚文化出版公司にて成果報告の出版打合せ。
9/13千田終日:故宮博物院図書文献館にて文献調査。
9/14千田終日:台北市内にて資料収集。
山下終日:淡水にて淡江大学を訪問。
9/15千田・山下終日:台北より帰国。
赤崁保安宮
台南武廟
普済廟の碑文
台南天后宮
汕尾北極殿
汕尾北極殿
林園区漁会
『李那吒鬧東海』

*本稿は日本学術振興会科学研究費補助金「近現代中華圏の伝統芸能と地域社会~台湾の皮影戯・京劇・説唱を中心に」(平成27~30年度、基盤研究(B)、課題番号:15H03195、研究代表者:氷上正)による成果の一部である。