『都市芸研』第四輯/華県碗碗腔皮影戯『玩瓊花』影印・解説

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華県碗碗腔皮影戯『玩瓊花』影印・解説

山下 一夫

『玩瓊花』は、陝西省華県碗碗腔皮影戯のテキストで、2004年に収集した資料の一つである。封面には「魏穏柱一九八〇年」の記載が見え、恐らく文革終結後の皮影戯上演再開の際に作成された写本だと思われる。

物語は、隋の煬帝が瓊花を見るために大運河を開削し揚州へと行幸するが、宇文化及・宇文成都に弑され、李世民・李元覇兄弟がこれを誅し、その父の李淵が唐の太祖として即位するまでを扱っている。小説『説唐』第三十二回から第三十五回を本事とし、各地の子腔系演劇でも行われている演目であり、碗碗腔皮影戯の台本は内容が陝西省の秦腔や河南省の豫劇のものと近い。隋唐の物語には様々なバリエーションがあり、その継承・影響関係も複雑に交錯しているが、本テキストは小説、人戯および偶戯の比較研究を行う上で重要な資料であるといえよう。

前号に掲載した遼南皮影戯の『唐英烈』と比較すると、書写形態が大きく異なることがわかる。現地調査の際、華県碗碗腔皮影戯でも台本を手元に置いて上演を行っていることが観察されたが、冀東系皮影戯とは異なり稀に参照するといった程度で、上演者は基本的には内容を覚えているように見受けられた。また、末葉には各人物に用いる影人の指定があり、全体的に備忘のための覚書といった性格が強い。このことも書写形態の相違を産んだ要因の一つであろう。

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