『都市芸研』第十四輯/台湾の影絵人形劇研究 のバックアップの現在との差分(No.1)


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*台湾の影絵人形劇研究――その現状と課題((本稿は日本学術振興会科学研究費補助金「近現代中華圏の伝統芸能と地域社会~台湾の皮影戯・京劇・説唱を中心に」(平成27~30年度、基盤研究(B)、課題番号:15H03195、研究代表者:氷上正)による成果の一部である。)) [#ebf3c97b]
RIGHT山下 一夫
RIGHT:山下 一夫
#CONTENTS

*1.はじめに [#d3e7fec7]

台湾で人形劇というと、「布袋戯」と呼ばれる手袋人形劇が一般には人気がある。布袋戯はもともと福建系住民の間で優勢な芸能であった上に、白色テロ時代に台湾語の使用が許された数少ないジャンルであったため、その後の台湾ナショナリズムと結びついたことや、ここから派生した「霹靂布袋戯」が台湾の国産ポップカルチャーとして若年層に受け入れられたことなどが原因であろう。しかし、台湾には布袋戯以外にも様々な人形劇が存在する。スクリーンに平面の人形を押し当てて操作する影絵人形劇―「皮影戯」も、その一つである。

台湾の影絵人形劇は、布袋戯に比べると流通範囲も狭く、決して人気のある芸能とは言えないが、それでも台湾の学術研究の緻密さを反映し、膨大な先行研究が蓄積されている。この点では、最近でこそ非物質文化遺産政策で多数の報告書が刊行されたものの、長い間研究が停滞していたために先行研究が乏しく、劇団を一つ一つ回って活動状況や芸人のライフヒストリーなどを調査していかなければならなかった中国の影絵人形劇とは大きな差がある。

したがって、台湾の影絵人形劇の研究のためには、多数の先行研究を一通り消化した上で、具体的な問題設定を行ってから調査を行う必要がある。そこで本稿では、台湾における影絵人形劇の研究状況を整理し、そこで検討された様々な問題を整理してみたいと思う。

*2.歴史と概説 [#xf330bee]

影絵人形劇に限らず、台湾の伝統芸能を検討する場合、まず参照しなければならない古典的著作として以下の研究がある。

-呂訴上,《台灣電影戲劇史》,台北:銀華出版部,1963年

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同書425頁から460頁の「台灣皮猴戲史」は、台湾の影絵人形劇の最初期の研究である。と言っても、紙幅のほとんどを1930年代から1940年代における中国の影絵人形劇研究の動向に割き、その中に台湾の影絵人形劇を位置づけるというものであるが、それでも後述する東華皮影劇団の当時の状況などを記しており、資料的価値は高い。

台湾の影絵人形劇全般を扱った最初の学位論文としては、以下の著作がある。

-柯秀蓮,《台灣皮影戲的技藝與淵源》,台北:中國文化學院藝術研究所碩士論文,1976年

呂訴上の研究対象が東華皮影劇団に限られていたのに比べ、この論文は1970年代における台湾のさまざまな劇団を網羅的に扱っており、初めての総合的な影絵人形劇研究として、また当時の上演状況を伝える資料として、極めて重要な価値を持つ。

続いて1981年に『民俗曲芸』第3号・第4号が「皮影戯専号」と題する影絵人形劇の特集を行った。ここでは顧頡剛の論文など、中国の影絵人形劇に関する研究も再録されているが、より重要なのは、台湾の影絵人形劇の様々な問題についての論文や報告を網羅的に掲載していることである。以下にそのリストを掲げる。

-邱坤良,〈臺灣的皮影戲〉,《民俗曲藝》3,pp.1-15,1981年
-Jo Humphrey(著)、詹百翔(譯),〈中國皮影戲〉,《民俗曲藝》3,pp.16-29,1981年
-施博爾,〈施博爾手藏台灣皮影戲劇本〉,《民俗曲藝》3,pp.30-87,1981年
-顧頡剛,〈灤州皮影〉,《民俗曲藝》3,pp.89-100,1981年
-本社編輯部,〈演出表〉,《民俗曲藝》3,pp.101-108,1981年
-吳亞梅,〈弄影記 談台灣皮影戲的製作與操作〉,《民俗曲藝》4,pp.1-18,1981年
-方朱憲,〈漫談兒童皮影與皮影教學研究〉,《民俗曲藝》4,pp.19-34,1981年
-陳光華,〈絹印皮影戲偶製作之應用〉,《民俗曲藝》4,pp.35-44,1981年
-幼梅,〈皮影戲,我們學會了〉,《民俗曲藝》4,pp.45-51,1981年
-劉宗銘,〈趣味漫畫故事運用於皮影戲〉,《民俗曲藝》4,pp.52-54,1981年
-趙文藝,〈皮影戲與青少年育樂〉,《民俗曲藝》4,pp.55-56,1981年
-雷驤,〈向業餘的皮影藝人們致敬〉,《民俗曲藝》4,pp.57-61,1981年
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『民俗曲芸』特集号の後、台湾の影絵人形劇全般に関する多くの研究を精力的に発表したのが、現在は台湾芸術大学戯劇学系で教鞭を執る石光生である。各劇団の報告や図録については後述するが、主要な論考は以下の著作に収録されている。

-石光生,《臺灣傳統戲曲劇場文化:儀式・演變・創新》,台北:五南圖書,2013年

また、高雄にある影絵人形劇専門の博物館の「皮影戯館」も、基本的には石光生の研究結果が反映されている。

-石光生,《高雄縣立文化中心皮影戲館籌建專輯》,高雄:高雄縣政府,2003年

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皮影戯館の展示は、常設の影絵人形劇の博物館として重要な地位を占めるとともに、台湾の影絵人形劇研究の一つの到達点ともなっている。ただ、例えば台湾の影絵人形劇を中国全体との対比で展示している点など、中国側の研究が進展した今となっては、修正が必要な部分も少なくない。

現在、台湾の影絵人形劇の最も重要な研究者は、嶺東科技大学の邱一峰である。氏の影絵人形劇関係の著作には以下のようなものがある。

-邱一峰,《台灣皮影戲研究》,台北:國立臺灣大學中國文學研究所碩士論文,1998年
-邱一峰,《台灣的皮影戲》,台北:漢光文化,1998年
-邱一峰,《台灣小百科・台灣皮影戲》,台北:稻田,2000年
-邱一峰,《台灣皮影戲》,台中:晨星出版,2003年
-邱一峰,《閩台偶戲研究》,台北:國立政治大學中國文學研究所博士論文,2004年

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上記著作は、部分的に重複もあるが、いずれも著者のフィールドワークと文献調査に裏打ちされていて、扱う問題も多岐に亘っており、現時点で最も優れた台湾の影絵人形劇研究となっている。

*3.伝統演劇の中の影絵人形劇 [#mf102485]

台湾に限らず、中華圏の影絵人形劇は、人形劇(「偶戯」)全体、さらには人間の行う演劇(「人戯」)も含む伝統演劇全体を視野に入れて研究する必要がある。それは以下のような理由による。

>●偶戯と人戯は相互に関連しながら展開した側面があるため、ある地域の影絵人形劇に見られる様々な要素が、同地域で行われている他の偶戯や人戯にも見出されることが多い。
>●一方で、マーケット等に相違があるからこそ、さまざまな偶戯や人戯が存在しているので、例えばある地域の影絵人形劇に特有の要素を見出した場合、なぜそれが同地域の他の偶戯や人戯に存在しないのかは検討する必要がある。
>●そもそも、人形劇全体、伝統演劇全体の研究の中で、影絵人形劇についても扱っているものも多い。

なお、台湾の伝統演劇で主な人戯には以下のようなものがある。

+南管戯。福建省の人戯である「梨園戯」が台湾に伝来したもので、南管の音楽を用いる。北管戯の流行に押され、人戯としての上演はほぼ消滅したが、音楽のみの演奏は現在でも行われている。
+北管戯。西秦王爺が祖師爺で「二凡」の音楽を用いる梆子腔系の「福禄」と、田都元帥が祖師爺で「皮黄」の音楽を用いる皮黄腔系の「西皮」の二種類がある。南管に遅れて台湾に伝来し、清末に一世を風靡したが、次第に歌仔戯に押され、人戯としての上演は2000年代に消滅した。ただ、道教儀礼などでは現在でも北管の音楽が用いられている。
+四平戯。本来は潮州経由で台湾に伝来した弋陽腔系演劇の一種だが、日本統治時代に北管戯の「西皮」を取り入れた「改良四平」に移行。1990年に最後の俳優の呉貴英が逝去し、消滅。
+京劇。日本統治時代に上海京劇が台湾に伝来、戦後は国府政権による保護もあって繁栄。台北を中心に行われている。
+歌仔戯。日本統治時代に台湾で形成。戦後、次第に北管戯を圧倒し、現在では「台湾を代表する伝統演劇」と見なされている。全国的に行われている。

次に、台湾の主な偶戯には以下のようなものがある。

+布袋戯。手袋人形劇(掌中木偶)の一種で、清代に福建省から伝来。主に以下のような種類がある。
--(ア)南管布袋戯。南管の音楽を用いる。早い段階で消滅。
--(イ)潮調布袋戯。潮調の音楽を用いる。北管布袋戯の流行に押されて凋落。
--(ウ)京劇布袋戯。京劇の音楽を用いる。台北を中心に分布。代表的人物に台湾の「人間国宝」となった李天禄がいる。
--(エ)北管布袋戯。北管の音楽を用いる。中南部を中心に全国的に分布。この系統に属する黄海岱一門は、1960年代以降テレビに活路を見出し、北管を捨てて西洋音楽に改め、「霹靂布袋戯」を形成。
+傀儡戯。糸操り人形劇(提線木偶)の一種で、清代に福建省から伝来。一般に宗教儀礼と深く結びついている。主に以下のような種類がある。
--(ア)北部傀儡。北管の音楽を用いる。福建省漳州の系統とされる。宜蘭を中心に分布。
--(イ)南部傀儡。南管の音楽を用いる。福建省泉州の系統とされる。高雄・台南などに分布。
+皮影戯(影絵人形劇)。潮調の音楽を用いる。高雄市岡山区を中心に行われている。

以上を見ると、布袋戯や傀儡戯は、人戯における音楽の流行と連動し、また全国的に分布しているのに対して、影絵人形劇は潮調を用い、また分布地域もごく限られていることが解る。なお、中国西北部で見られるような、影絵人形劇とその他の人形劇を同一の芸人が上演することは、後述する新興の華洲園以外には見られない。

台湾の伝統演劇研究で影絵人形劇に言及しているものは多いが、代表的なものを挙げると以下の通りとなる。

-曾永義、陳正之,《臺灣傳統戲曲》,台北:台灣東華書局,1997年
-行政院文化建設委員會,《文化白皮書》,台北:行政院文化建設委員會,1998年
-林茂賢,《福爾摩沙之美:臺灣傳統戲劇風華》,台中:文建會中部辦公室,2000年
-曾永義、游宗蓉、林明德,《臺灣傳統戲曲之美》,台中:晨星出版,2003年
-林茂賢,《臺灣傳統戲曲》,台北:國立臺灣藝術教育館,2001年

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また以下の著作は、清代における台湾の伝統演劇全般を検討する中で、影絵人形劇についても触れている。

-張啟豐,《清代臺灣戲曲活動與發展研究》,台南:國立成功大學中國文學系碩博士論文,2003年

戦後初期における台湾の伝統演劇の研究で、影絵人形劇に言及するものとしては、以下の著作がある。

-焦桐,《臺灣戰後初期的戲劇》,台北:臺原出版社,1990年

また、以下の論文集には、台湾の様々な人形劇についての論考が収められている。

-中華民俗藝術基金會(編),《臺灣偶戲藝術 2004雲林國際偶戲節學術研討會論文集》,雲林:雲林縣文化局,2004年

なお、影絵人形劇の系統を考えるに際しては、「祖師爺」の問題が非常に重要となるが、以下の研究は台湾の伝統演劇全般における祖師爺の問題を検討しており、参照する必要がある。

-徐亞湘,《台灣地區戲神―田都元帥與西秦王爺之研究》,台北:中國文化大學藝術研究所碩士論文,1993年

なお、台湾の伝統演劇の研究状況については、以下の著作で概観がなされている。

-蔡欣欣,《臺灣戲曲研究成果論述(1945-2001)》,台北:國家出版社,2005年

*4.潮調音楽 [#l7f1cf29]

前章で触れたように、台湾の影絵人形劇の特徴の一つは潮調の音楽を用いる点にある。この分野は、著名な台湾伝統音楽研究者の呂錘寬の学生である李婉淳が、精力的にフィールドワークを行っている。

-李婉淳,《台灣皮影戲音樂研究》,台北:國立臺灣師範大學民族音樂研究所碩士論文,2004年
-李婉淳,〈從譜式看臺灣皮影戲後場的音樂系統〉,《臺灣音樂研究》No.9,pp.29-56,2009年
-李婉淳,《臺灣皮影戲音樂及其源流研究》,台北:國立臺灣師範大學音樂學系博士論文,2010年
-李婉淳,〈從【雲飛】論臺灣皮影戲唱腔之傳承〉,《音樂研究》No.14,pp.21-52,2010年
-李婉淳,《高雄市皮影戲唱腔音樂(附光碟)》,高雄:高雄市政府文化局,2013年

また同テーマでは以下の研究もある。

-陳怡礽,《臺灣皮影戲音樂的傳承與發展》,台南:國立臺南藝術大學民族音樂學研究所碩士論文,2010年
-王亮今,《臺灣傀儡戲、皮影戲音樂文獻資料之整理與研究(1945-2015)》,台北:國立臺北教育大學音樂學系碩士論文,2015年

影絵人形劇と同じく潮調を用いる人形劇に、前章でも触れた潮調布袋戯があるが、これについては以下の研究がある。

-張雅惠,《潮調布袋戲《金簪記》音樂研究》,台北:國立臺灣師範大學碩士論文,2000年

また、台湾の伝統音楽全般については、以下の著作が参考となる。

-呂鈺秀,《臺灣音樂史》,台北:五南圖書,2003年
-呂錘寬,《臺灣傳統音樂概論・歌樂篇》,台北:五南圖書,2005年

潮調は広東省潮州に由来し、中国の人戯である「潮劇」でも用いられている音楽である。ここから、台湾の影絵人形劇は中国で行われていた潮劇と同系統の影絵人形劇が伝来したものと考えられる。この問題については、本誌掲載の千田大介の論考を参照されたいが、台湾側の研究としては以下の論考があり、いずれも先に挙げた邱一峰の博士論文に反映されている。

-李殿魁、邱一峰,〈臺灣皮影戲與大陸影戲傳承關係之探索〉,《傳統藝術研討會論文集》,台北:國立傳統藝術中心籌備處,pp.137-165,1998年
-邱一峰,〈福建地區偶戲現況之考察及其與臺灣之比較〉,《嶺東學報》第14期,pp.289-308,2003年

またこの問題については、両岸の傀儡戯について検討した以下の研究も参考になる。

-金清海,《台閩地區傀儡戲比較研究》,台北:學海出版社,2003年

*5.七つの劇団 [#wec028c7]

清末の段階で、現在の高雄市岡山区には40以上の影絵人形劇団があり、また隣接する屏東市にも劇団が存在していた。日本統治時代にも数十の劇団があったとされるが、いわゆる「皇民化運動」の際には、そのうち東華皮影劇団の張叫・張徳成親子と、福徳皮影劇団の林文宗が「台湾演劇協会」に加入し、『桃太郎』などの皇民劇を上演している。

1950年代に影絵人形劇は黄金時代を迎えるが、1960年代になると一般にテレビが普及しはじめ、さらに1970年代には主要マーケットの一つである廟会に映画が入り込んできたため、影絵人形劇は次第に観客を失っていった。2000年代に入ると劇団は7つになり、2016年現在では5つにまで減少している。

1990年代末の時点での各劇団の調査報告としては、以下のようなものがある。

-陳憶蘇、盧彥光,《高雄縣皮影戲五大戲團研究報告》,高雄:高雄縣立文化中心,1999年

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以下、近年解散したものも含め、各劇団の概要と、関連の研究報告について述べる。

**(1)東華皮影劇団 [#r86212d1]

高雄市大社区にある、台湾で最も歴史の長い劇団で、代々張氏一族によって運営されてきた。先に述べたとおり、太平洋戦争中は皇民劇を行っており、その際は「第一奉公団」と称されている。歴代の劇団主は以下の通りである。

>初代・張状(1820-1873)、第二代・張旺(1846-1925)、第三代・張川(1871-1943)、第四代・張叫(1892- 1962)、第五代・張徳成(1920-1995)、第六代・張榑國

このうち第五代の張徳成は、布袋戯における李天禄同様、「人間国宝」の指定を受けた人物で、台湾の影絵人形劇の代表的人物と見なされているが、自らの創意で伝統的な内容に大胆なアレンジを加えている側面もあるので、彼を台湾の影絵人形劇の「典型」と見なさない方が良いかも知れない。記録・研究として以下のようなものがある。


-教育部,《教育部重要民族藝術藝師:皮影戲張德成藝師》(VCD),台北:教育部,1997年
-蔡文婷,〈弄影一甲子―皮影戲藝師張德成〉,《光華》14:10,pp.119-127,1989年
-林美鸞,《光復後臺灣地方戲劇演出情形與社會轉型關係初探(1945-1970)─―以東華皮戲團、新興閣掌中劇團、拱樂社為例》,嘉義:國立中正大學歷史研究所碩士論文,1995年
-石光生,《皮影戲張德成藝師―重要民族藝術藝師生命史(I)》,台北:教育部,1995年
-林保堯,《皮影戲―張德成藝師家傳劇本集》(第一至十五冊),台北:教育部,1996年
-張榑國,《皮影戲―張德成藝師家傳影偶圖錄》,台北:教育部,1997年
-石光生,〈論張德成皮影戲「內臺演戲紀錄」(1952–1967)反映的臺灣內臺戲劇場文化〉,《民俗曲藝》146,pp.157-217,2004年
-彭錦華,《臺灣庶民的藝文表述與歷史實踐—以東華皮影戲團為考察》,台南:國立成功大學中國文學系博士論文,2004年
-張能傑,《論民族藝師張德成新編皮影戲》,台北:國立臺北大學民俗藝術研究所碩士論文,2008年
-張能傑,〈東華皮影戲團的歷史與傳承〉,《臺灣民俗藝術彙刊》6,pp.66-92,2010年

**(2)合興皮影劇団 [#j1ce7ba4]

高雄市大社区にあり、もとの名前を「安楽皮影戯団」と言った。歴代の劇団主は以下の通りである。

>初代・張長(1854-1900)、第二代・張開(1880-1962)、第三代・張古樹、第四代・張天宝(1936-1991)および張春天(1939-2009)、第五代・張福丁(1957-)

第五代になってからも中心的地位にあった張春天が2009年に逝去したことで、以後活動を停止した。記録・研究として以下の著作がある。

-金清海,《合興皮影戲團研究》,高雄:國立高雄師範大學國文學系碩士論文,1998年
-金清海,《皮影藝人―張春天生命史》,高雄:高雄縣文化局,1998年
-石光生,《合興皮影戲團發展紀要暨圖錄研究影音DVD》,高雄:高雄縣文化局,2006年
-蔡杰芸,《合興皮影戲團四齣手抄本之研究》,台南:國立成功大學藝術研究所碩士論文,2008年

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**(3)福徳皮影劇団 [#gd6dbd93]

もと高雄市永安区にあったが、のち岡山区に移動した。林文宗(?-1957)が日本統治時代に設立した劇団で、太平洋戦争中は「第二奉公団」として皇民劇を行った。その後、林淇亮(1921-2007)が継いだが、氏の逝去によって活動を停止した。記録・研究として以下の著作がある。

-林永昌、石光生,《福德皮影戲劇團發展紀要暨圖錄研究DVD》,高雄:高雄縣文化局,2008年

**(4)永興楽皮影劇団 [#r773cf75]

高雄市弥陀区にある。父親の張利(1870-1940)に皮影を習った張晚(1892-1968)が日本統治時代に設立し、第二代・張做および張歲、第三代・張新国および張英嬌と続いた。皮影戯館での様々な活動も担当している。記録・研究として以下の著作がある。

-石光生,《永興樂皮影戲團發展紀要(割股、五虎平西:白鶴關、西遊記:火焰山)》(DVD),宜蘭:傳統藝術中心,2005年

**(5)復興閣皮影劇団 [#sc1eaac5]

高雄市弥陀区にある。もとの名前を「新興皮影戯団」と言った。呉天来、李看、呉大頭、張著などに皮影を習った張命首(1903-1981)が創始し、第二代・許福能(張命首の娘婿、1923-2002)、第三代・許福助と続いている。

-民俗曲藝編輯部,〈復興閣皮影劇團(附故事大綱)〉,《民俗曲藝》37,p.127,1985年
-陳憶蘇,《復興閣皮影戲劇本研究》,台南:國立成功大學歷史語言研究所碩士論文,1992年
-石光生,《皮影戲藝師:許福能生命史》,高雄:高雄縣文化中心,1998年
-邱一峰,《光影與夢幻的交織―許福能的生命歷程》,台北:國立傳統藝術中心籌備處,2000年
-朱玉秀、謝貴文,〈從傳統中找出新意的復興閣皮影戲團〉,《高雄文獻》3:1,pp.118-127,2013年

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**(6)宏興閣皮影劇団(高雄皮影劇団) [#ec12411c]

高雄市燕巣区にある。1995年に高雄県政府文化局が開催した「皮影戯研習班」で、復興閣の許福能に皮影を習った陳政宏が、2002年に「宏興閣皮影劇団」を組織、2013年に「高雄皮影劇団」と改名。記録・研究として以下の著作がある。

-邱淑惠,《高雄縣皮影戲館對傳統藝術教育推廣之研究―並以宏興閣皮影戲團為例》,嘉義:南華大學美學與藝術管理研究所碩士論文,2008年
-朱玉秀、謝貴文,〈在傳統中創新的宏興閣皮影戲劇團〉,《高雄文獻》2:3,pp.136-144,2012年

**(7)華洲園皮影劇団 [#ocf3f789]

新北市三重区にあり、台湾北部唯一の劇団。林阿三夫婦が1987年に中国の四川、陝西、河北、福建などで人形劇に触れ、その後5年間中国大陸で影絵人形劇を学習し、帰国後設立したもの。台湾の布袋戯を行う一方で、『鶴与亀』『両朋友』など人民共和国公営劇団に由来する演目も上演するというもので、台湾の伝統的な影絵人形劇のあり方とはかなり異なっている。地の利を生かし、大台北地区における児童皮影・校園皮影(後述)にマーケットを有している。記録・研究として以下の著作がある。

-江武昌,〈有影無跡話皮影―華洲園皮影戲〉,《表演藝術》25,pp.24-26,1994年
-吳佩,〈操偶又弄影的家庭―華州園布袋/皮影戲團〉,《表演藝術》51,pp.78-82,1997年
-邱一峰,〈華燈幻彩顧影相憐―臺灣皮影戲的傳統與現代之路,以及堅持創新的華洲園皮影戲團〉,《北縣文化》88,pp.12-19,2006年

*6.台本・物語研究 [#kbf32282]

台湾の影絵人形劇の台本研究を最初に行ったのはフランスのシッペールである。シッペールは1968年から1969年の間に、現在では解散した金連興班の蔡竜渓や、飛鶴班の陳貯などから古い抄本を入手し、整理して目録を公刊した(「2.歴史と概説」〈施博爾手藏台灣皮影戲劇本〉)。収集台本のうち最も古い紀年は1818年で、これらは現在、福州大学図書館所蔵シッペールコレクションに含まれている。またこれとは別に、蔡竜渓の旧蔵台本は高雄市立歴史博物館に寄贈されており、目録がWebで公開されている。

-蔡龍溪皮影文物網 http://www.khm.gov.tw/exhibition/puppet/story.html

このほか、合興と復興閣の台本については詳細な研究が行われている(「5.七つの劇団(2)」《合興皮影戲團四齣手抄本之研究》および「5.七つの劇団(5)」《復興閣皮影戲劇本研究》)。これらと、影印出版されている東華劇団の張德成の旧蔵台本(「5.七つの劇団(1)東華皮影劇団」《皮影戲―張德成藝師家傳劇本集》)とを比較すると、同じ台湾の影絵人形劇の台本と言っても、抄写形態や内容などに大きな相違が存在することが解る。

台本研究ではほかに、邱坤良の『再生縁』研究がある。

-邱坤良,〈皮影戲的再生緣教學研究〉,《民俗曲藝》7,pp.10-13,1981年
-邱坤良,〈皮影戲的再生緣〉,《綜合月刊》146,pp.112-118,1981年

また、『蔡伯喈』を研究した林鋒雄は、この台本が古い南戯のテキストの系統のものであることを指摘している。

-林鋒雄,〈論臺灣皮戲《蔡伯喈》〉,《漢學研究》19(1),pp.329-353,2001年

中国大陸側では以下のような研究がある。

-郑守治,〈台湾皮影戏潮调剧目的来源〉,《清远职业技术学院学报》第3卷第1期,pp.98-101,2010年
-郑守治,〈潮州影戏的剧目及其渊源― 以台湾皮影“潮调”为中心〉,《闽台文化交流》总第23期,pp.89-92,2010年

このほか、台湾の影絵人形劇の台本および物語の研究としては以下のようなものがある。

-吳天泰,《皮影戲劇本的文化分析》,台北:國立臺灣大學考古人類研究所碩士論文,1992年
-廖秋霞,《高文舉故事研究》,台南:國立成功大學中國文學系碩士論文,1997年
-林美惠,《《西遊記》的另類閱讀──以皮影戲為例》,新竹:國立新竹師範學院臺灣語言與語文教育研究所碩士論文,2003年
-陳櫻仁,《台灣地區皮影戲劇本語言研究》,高雄:國立高雄師範大學台灣語言及教學研究所碩士論文,2004年
-石光生,〈王昭君故事於臺灣戲劇文本書寫之意變:以高甲戲《王昭君》與皮影戲《昭君和番》為例〉,《高應科大人文社會科學學報》2,pp.1-20,2005年
-鄧琪瑛,〈臺灣皮影戲「阿萬師傳說」的另一種思考〉,《傳藝》71,pp.73-77,2007年
-林永昌,〈台灣皮影戲冊白話書寫研究―以《割股》為例〉,蔣為文(主編)《台灣kap亞洲漢字文化圈的比較》,台南:開朗雜誌,2008年
-呂堅華,《皮影戲手抄劇本的修護與保存―以高雄縣政府皮影戲館之藏品《陸鳳陽鐵求山》劇本為例》,台南:國立臺南藝術大學古物維護研究所碩士論文,2009年
-張能傑,〈論東華皮影戲團文本「苑丹妻--看地府歌報」與歌仔冊「十殿歌」中地獄教化情節之比較〉,《古典文獻與民俗藝術集刊》1,pp.149-160,2012年

また、以下の論文は傀儡戯の台本の研究だが、南傀儡は南管以外に一部潮調を用いるため、影絵人形劇の台本を検討する際にも参考になるものと思われる。

-高碧蓮,《福建泉州及台灣高雄懸絲傀儡戲劇本研究》,高雄:國立高雄師範大學國文學系博士論文,2000年

*7.人形・造型研究 [#k019b509]

中国では美術品としての影絵人形の価値が注目されたこともあり、美術研究者によって人形造型の研究が進められ、図録なども多数出版されてきたが、台湾ではそうした側面はあまり重きが置かれてこなかった。そうした中で、多くの影絵人形を収集し、図録を公刊してきたのが、屏東県潮州鎮国民小学校の美術教員で、影絵人形収蔵家の陳処世である。

-陳處世,《影偶之美》,高雄:高縣文化局,1996年
-陳處世,《影戲人生》,台北:棋碁文化事業有限公司,2006年

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図録はこの他、以下のようなものも出版されている。

-石光生,《蔡龍溪皮影戲文物圖錄研究》,高雄:高雄縣立文化中心,2000年
-郭瑞鎮,《影偶之美︰高雄縣皮影戲館典藏目錄(1)》,高雄:高縣文化局,2003年
-黃興武,《影偶之美:高雄縣皮影戲館典藏目錄(2)》,高雄:高雄縣文化中心,2005年
-石光生、黃春秀,《照光弄影―影藝文化展》,台北:國立歷史博物館,2010年

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民間美術の研究で影絵人形に言及したものとしては、以下の著作がある。

-席德進,《台灣民間藝術》,台北:雄獅圖書,2004年

影絵人形の造型面での研究は、近年デザイン研究の分野からのアプローチが行われている。

-邱麗玉,《台灣皮影戲偶服飾之研究》,高雄:樹德科技大學應用設計研究所碩士論文,2003年
-陸彥誠,《台灣皮影戲角色造形研究》,高雄:樹德科技大學應用設計研究所碩士論文,2003年
-林聖澤,《皮影戲之圖像造形創作―以文化創意商品設計為例》,台北:國立臺灣師範大學設計研究所在職進修碩士論文,2010年
-蔡宜喬,《探討皮影戲影偶造形意象對女性飾品設計之影響》,台北:大同大學工業設計學系(所)碩士論文,2010年
-黃淑芬,《台灣傳統皮影戲影偶角色特徵與動作》,高雄:東方設計學院文化創意設計研究所碩士論文,2010年

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影絵人形劇の博物館としては、先に触れた高雄の皮影戯館と、台北の偶戯博物館があるが、これについては、主に博物館学の分野から、設計や展示の問題を検討した研究が発表されている。

-石光生,《高雄縣立文化中心皮影戲館籌建專輯》,高雄:高雄縣立文化中心,1994年
-謝曉婷,《台北偶戲博物館教育活動初探―以「皮影戲」工坊活動為例》,台南:臺南藝術學院博物館學研究所碩士論文,1999年
-林宏澤,《從文化產業探討地方文物館的發展―高雄縣皮影戲館視覺設計規劃研究》,台北:國立臺灣師範大學美術系在職進修碩士論文,2002年
-馬淑芳,《台灣偶戲博物館功能之研究》,台北:國立臺北大學民俗藝術研究所碩士論文,2005年
-黃郁茹,《文化創意加值運用―以台灣皮影戲為例》,台南:立德大學資訊傳播研究所論文,2005年
-林麗卿,《高雄縣皮影戲數位博物館的建構與經營研究》,台南:國立成功大學藝術研究所碩士論文,2008年

博物館の電子化や、影絵人形をタッチスクリーンで動かす「デジタル影絵人形劇」(數位皮影)の研究も盛んで、近年膨大な量の学位論文が執筆されている。


-鍾榮豪,《多媒體電腦輔助教學學習成效之研究―以皮影戲戲劇教學為例》,中壢:國立中央大學資訊管理學系碩士在職專班碩士論文,2002年
-張佩琪,《實驗性皮影造型,數位動畫之創作研究―以獨獸為例》,高雄:國立高雄師範大學視覺傳達設計研究所碩士論文,2004年
-蘇文雄,《數位影像之視覺傳達設計研究―以傳統偶戲數位影像創作為例》,台北:國立臺灣師範大學設計研究所在職進修碩士論文,2005年
-黃郁茹、李思欣,〈台灣皮影戲之數位典藏加值運用―互動式教學光碟製作〉,立德管理學院(主編),《2007NCDC 全國數位內容學術研討會論文集》,pp.79-79,台南:立德管理學院,2007年
-蘇巨暉,《電腦動畫藝術應用皮影戲元素之創作研究》,台北:國立臺灣藝術大學多媒體動畫藝術學系碩士論文,2007年
-陳彥蓉,《皮影戲應用於電腦動畫之創作研究―以《魅影》動畫製作為例》,台北:銘傳大學設計創作研究所碩士論文,2009年
-彭建華,《皮影話白蛇 皮影戲文化創意加值應用於光柵光影視像創作研究》,高雄:樹德科技大學應用設計研究所碩士論文,2011年
-蕭朋威,《以Inverse Kinematics骨架融入皮影戲操作之悅趣學習設計與成效研究》,新竹:國立新竹教育大學數位學習科技研究所碩士論文,2011年
-李妍潔,《以臺灣傳統皮影戲為創意元素之動畫設計》,高雄:樹德科技大學應用設計研究所碩士論文,2011年
-繆愫恩,《數位偶戲設計與觀眾體驗調查―以高雄市皮影戲館為例》,高雄:樹德科技大學應用設計研究所碩士論文,2012年
-陳泊宏,《非接觸式手勢辨識融入皮影戲操作之研究與創作》,台北:國立臺北科技大學互動媒體設計研究所碩士論文,2013年

*8.校園皮影 [#e74ee975]

校園皮影とは、児童の情操教育と伝統文化教育を兼ね、影絵人形劇の上演を学校で行うというものである。幾つかの劇団はここを「マーケット」にしており、類似の活動は日本の人形劇の劇団などでも行われている。これについては、人民共和国成立後、ソ連児童劇の影響で影絵人形劇の「児童化」が行われた中国との比較研究も可能であろう。なお、子どもが人形を作る場合、皮を使うのは難しく、紙で代用するため、校園皮影は「紙影戯」と呼ばれることも多い。

この分野については、1960年代の段階ですでに以下のような記事がある。

-孫澈,〈皮影戲與教學〉,《視聽教育雙月刊》6:5,pp.1-3+21,1965年

先に触れた、1981年の『民俗曲藝』第4号でも幾つかの関連論文が掲載されているが(「2.歴史と概説」参照)、その後も多数の研究が発表されている。


-東海美術系,〈讓民俗技藝進入大學課程:東海美術系皮影偶戲〉,《民俗曲藝》31,pp.153-156,1984年
-張延民,〈皮影戲在國民小學美勞教學的價值觀〉,《教師之友》30:1,pp.19-21,1989年
-陳處世,《兒童紙影戲的製作與表演》,屏東:澤偉書局,1993年
-孫鳳吟,〈竹圍國小紙影戲研習營學生學習效果及影響之研究〉,《高苑學報》7:2,pp.389-398,1998年
-孫鳳吟,《創造性影戲教學對國小學生創造力傾向之影響研究》,台南:立宇出版社,1998年
-孫鳳吟,〈皮(紙)影戲教學在國小推行容易度之研究〉,《藝術論衡》4,pp.5-14,1998年
-孫鳳吟,《論高雄地區皮影戲現況與保存推廣》,高雄:高苑科技大學碩士論文,1999年
-孫鳳吟,〈影戲在國小推行之探討〉,《人文及社會學科教學通訊》53,pp.155-169,1999年
-孫鳳吟,〈創作性紙影戲劇教學對國小學生創造力傾向之影響研究〉,《藝術論衡》5,pp.57-78,1999年
-平安學術文教基金會,〈民俗才藝研習營、皮影戲研習營〉,《彰化藝文》5,pp.44-45,1999年
-石光生,〈青少年對傳統藝術的認識與期望〉,《文化視窗》22,pp.46-57,2000年
-吳燕招、王薇琇、蔡瑞龍、李美燕、張文菁,《光和影的藝術:紙影偶的製作與演出》,高雄:高縣文化局,2000年
-莊惠雅,《台灣兒童戲劇發展之研究(1945-2000)》,台東:國立台東師範學院兒童文學研究所碩士論文,2001年
-林永昌,《高雄縣校園皮紙影戲競演劇本研究》,台南:國立成功大學藝術研究所碩士論文,2001年
-施能木,〈談「藝術與人文」教學的落實―以紙影戲為例〉,《公教資訊季刊》,2002,pp.2-10,2002年
-陳淑汝,《台灣文化創意產業行銷策略之研究―以皮影戲為例》,雲林:雲林科技大學工業設計系碩士班碩士論文,2003年
-陳處世,〈用客家話旁白的皮影戲〉,《六堆雜誌》2003.6,pp.43-44,2003年
-陳處世,〈歡喜來作客家皮影戲〉,《文化生活》2003.1,pp.83-84,2003年
-石光生,〈教育與文化藝術―以校園皮(紙)影戲競演為例〉,《臺灣教育》2004.8,pp.22-28,2004年
-李玉慶,〈學校本位課程與人文藝術領域之整合―以紙影戲為例〉,《國教輔導》42:6,pp.41-47,2003年
-吳望如,《談皮影戲 台北縣教師皮影戲研習成果專輯》,台北:台北縣政府,2003年
-林秀芬,《應用社區文化的幼兒視覺藝術教學研究》,屏東:國立屏東師範學院視覺藝術教育學系碩士論文,2004年
-李美燕,《台灣影戲文化的傳承、創新與推廣―高雄縣竹圍國小皮(紙)影戲個案研究》,台南:國立臺南大學台灣文化研究所碩士論文,2005年
-張玉梅,《國小皮影戲社團教學研究―以高雄縣彌陀國小為例》,台南:國立臺南大學戲劇創作與應用學系碩士論文,2006年
-馮筱嵐,《紙(皮)影戲應用於國小輔助教材設計創作》,桃園:中原大學商業設計研究所碩士論文,2006年
-朱維珍,《國小中年級鄉土藝術融入藝術與人文領域教材之內容分析研究》,台北:國立臺北教育大學藝術學系碩士論文,2007年
-林淑玲,《台中市信義國小偶戲課程的發展與實施之個案研究》,台中:國立臺中教育大學教育學系碩士論文,2008年

このほか、校園皮影に携わる現場の教員向けの手引き書や台本集なども多数刊行されている。

-楊玟瑗,《皮影戲:教學手冊(The shadow show: teacher's manual)》,台北:僑委會,1989年
-高雄縣文化中心,《校園皮影戲表演競賽劇本》第一屆-第七屆,高雄:高雄縣文化中心,1994年-2000年
-歐素雯、呂堅華,《2000偶戲人藝術教育交流研討會成果冊》,高雄:高雄縣政府文化局,2000年
-高雄縣文化局,《偶戲人藝術教育交流研討會成果冊》,高雄:高雄縣政府文化局,2000年
-王添強、麥美玉,《戲偶在樂園:幼兒戲偶教學工具書》,台北:成長基金會,2002年
-郭博州,《台灣鄉土藝術導賞教學手冊》,台北:國立台灣藝術教育館,2002年
-高雄縣文化局,《紙影戲偶的製作與演出》,高雄:高雄縣政府文化局,2004年
-高雄縣文化局,《全國國民中小學師生暨社會民眾紙影戲表演競賽劇本》,高雄:高雄縣文化局,2007年
-劉依依、林晉陞、林昱廷,《第六屆鳳邑文學獎得獎作品集:舞台劇、歌仔戲、皮影戲劇本》,高雄:高雄縣政府文化局,2009年

*9.おわりに [#y6a1d529]

以上、台湾の影絵人形劇の先行研究について、ざっと概観してきた。これを踏まえて、今後研究を進めて行くにあたり、検討すべき課題を幾つか設定してみたいと思う。

**(1)台本研究 [#x136aeea]

影絵人形劇の台本については、「6.台本・物語研究」で触れた通り、すでに多くの研究成果が提出されているが、中国側の潮劇や影絵人形劇、台湾側の北管戯や傀儡戯・布袋戯との比較や、また太平洋戦争終結後の新演目の成立など、まだまだ検討の余地は多い。また、最も貴重なコレクションであるシッペール旧蔵抄本については、台湾の国外に所蔵されていることもあって、本格的な研究はいまだ行われていない状態にある。しかし、これを影印が公刊された張徳成旧蔵抄本や、整理の進んだ蔡竜渓旧蔵抄本などとも比較検討することで、従来に無い知見を得ることができると思われる。

**(2)日本人による記述の発掘 [#t0f360cb]

台湾の影絵人形劇には、西川満や山中登など、日本統治時代・戦後を通して、何人かの日本人が関わっている。一般に知られている主な日本語資料には以下のものがある。

-片岡巖,《台灣風俗誌》,台北:台灣日日新報社,1921年
-臺灣總督府文教局社會課,《臺灣に於ける支那演劇及臺灣演劇調》,台北:臺灣總督府文教局,1927年
-浜田秀三郎,《台灣演劇の現狀》,東京:丹青書房,1943年
-印南高一,《支那の影畫芝居》,東京:玄光社,1944年
-山村祐,《台湾の人形芝居》,東京:森林書房,1970年
-財団法人現代人形劇センター,《台湾の人形劇》,神奈川:財団法人現代人形劇センター,1981年
-山形文雄,〈臺灣皮影戲見聞錄〉,《民俗台灣》4,pp.289-291,1990年
-宇野小四郎,〈台灣人形劇考〉,《民俗台灣》5 ,pp.156-232,1990年

しかし、日本統治時代の日本語資料は、他にもまだまだ埋もれている可能性があり、これを発掘することで、当時の上演状況や日本人の関わりなどについて理解する手がかりを得られるものと思われる。

**(3)現代中国の影絵人形劇の影響 [#u9cf7880]

現代中国の影絵人形劇の影響については、華洲園がいわば「極端」な例として挙げられるが、京劇などの人戯が戦後中国の影響を受けてきたことを考えると、他の劇団や芸人についても可能性が考えられなくもない。実際、陳処世のコレクションの中には現代中国の影絵人形が大量に含まれているし、また以下の報告が示すように、台湾の劇団が中国に行ったり、中国の劇団が台湾で公演を行っている例もある。影絵人形劇は、台湾本土文化の一つと見なされているため、現代中国の影響というのはややセンシティブな問題はあるが、検討に値するテーマではあると思う。

-金清海,〈彼岸風光―合興皮影戲團赴大陸學術交流記事〉,《傳統藝術》2000.2,pp.44-45,2000年
-曾永義,〈世界皮影戲之最―寫在唐山皮影劇團來台巡迴公演之前〉,《中國時報・人間副刊》民國89年4月4日,2000年
-陳處世,〈皮影戲與唐山皮影戲團〉,《六堆雜誌・革新》79,pp.43-44,2000年
-傳統藝術編輯部,〈唐山市皮影劇校園演出〉,《傳統藝術》7,pp.42-43,2000年
-邱一峰,〈光影的轉折與逍逝―唐山皮影戲傳統劇觀後〉,《表演藝術》2001.6,pp.72-75,2001年
-王巧萍,〈唐山市皮影劇團〉,《傳統藝術》41, pp.60-61,2004年
-楊純純,〈唐山市皮影劇團宜蘭校園巡演紀事〉,《傳統藝術》64,pp.115-116,2006年

**(4)潮州文化の台湾伝来 [#a227ea9e]

台湾の影絵人形劇で用いられる潮調は、その名が示すとおり潮州に由来する音楽である。そのため、台湾の影絵人形劇の伝来については、以下幾つかの可能性が考えられる。

-(a)潮調を用いる影絵人形劇が福建省の泉州や漳州などで行われ、それが福建系移民によって台湾に持ち込まれた
-(b)潮調を用いる影絵人形劇が海陸豊などで行われ、それが客家系移民によって台湾に持ち込まれた
-(c)潮調を用いる影絵人形劇が潮州で行われ、それが現在では他のエスニックグループに同化されて消滅した潮州系移民によって台湾に持ち込まれた


現在、台湾の台湾本土文化は福建系・客家系・原住民系の3種類に「線引き」されてしまっているが、影絵人形劇が上記いずれのルートによる伝来であったとしても、こうした固定した漢人の各エスニックグループ文化の枠組に疑義を提出し得る材料となるものと思われる。