『都市芸研』第九輯/河北省檔案館・天津市檔案館利用案内 の変更点

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*河北省檔案館・天津市檔案館利用案内――附:石家荘・天津古書店案内 [#ra9b6c86]
RIGHT:戸部 健
#CONTENTS

*はじめに [#xe4542c2]

科学研究費補助金プロジェクト「近現代中国における伝統芸能の変容と地域社会」(研究代表者氷上正)に伴う資料調査のため、筆者は2010年9月に河北省石家荘市および天津市を訪れた。その際、石家荘では河北省檔案館、天津では天津市檔案館にて資料調査を行った。本稿では、調査当時(2010年9月6日~14日)におけるこれら2館の利用方法について紹介する。

また、調査の際、現地の古書店でもいくつか資料を購入した。そこで、石家荘と天津における古書店の情況についてもあわせて報告する。

なお、本稿の対象のうち天津の古書店の情況については、2003年に筆者が本誌で紹介している((拙稿「山西省図書館・天津図書館利用案内」『中国都市芸能研究』第二輯、2003年。のちに一部加筆した上で『近代北方中国の芸能に関する総合的研究―京劇と皮影戯をめぐって―』平成14年度~平成16年度科学研究費補助金(基盤研究(B))研究成果報告書(研究代表者 氷上正)、2005年、に転載。))。しかし、その後の7年間で情況は大きく変化した。情報の更新という意味合いから、本稿で再度取り上げることにした。

*1. 石家荘 [#zfa62440]

**1.1. 河北省檔案館 [#y9ddb560]
-所在地:橋西区師範街80号
-電話:86-(0)311-87902333
-利用時間:月~金 9:00~11:30、14:00~17:30

***(1)利用申請 [#q827d340]

利用に当たっては、1ヶ月前までにインターネット上のサイト「河北省網上審批系統」((http://www.heb.gov.cn/index.do?templet=index))で利用申請をする必要がある(システムを利用する前に、同サイト上にある「申報用戸登録」ページからユーザー登録をする必要がある)。申請に際して必要なのは、履歴書・閲覧申請書・中国の高等教育機関に勤務している人物からの紹介状である。筆者は、このうち履歴書と閲覧申請書((筆者の場合、閲覧申請書には氏名・生年・年齢・住所・電話番号・Eメールアドレス・所属・学歴職歴・研究業績・現在の研究テーマ・閲覧を希望する資料名・閲覧期間などを記した。))を自作し、紹介状については知人の大学教員に作成していただいた。これらの書類をPDF化し、上記サイトにアップロードする。先方より許可が下りれば、申請者にメールで通知される。申請してから許可が下りるまで、筆者の場合19日を要した。

***(2)檔案館での利用手続き [#y5194764]

檔案館の閲覧室は敷地に入ってすぐの建物の2階にある。閲覧室に入ったらロッカーに荷物を預けてから、カウンターで利用手続きをする。この時パスポートだけでなく、利用申請の際に使用した、中国の高等教育機関に勤務している人物からの紹介状が必要となる。そのほかに、カウンター備え付けの用紙に氏名・所属・研究対象・檔案の利用目的などを書いて提出する必要もある。用紙に書くべき内容は、筆者の場合、利用申請の際に提出した閲覧申請書とほぼ同様であったため、二度手間であった。いずれにせよ、利用申請の際に提出した資料は、現地にすべて持参したほうがよいだろう。

***(3)検索 [#h40ccbbe]

資料の検索には2通りの方法がある。ひとつは、カウンター横の書棚に配架されている冊子目録による検索。もうひとつは、備え付けのパソコンでの検索である。資料群全体のありようを俯瞰したい場合は冊子目録で、ピンポイントで資料に当たりたい場合はパソコンで検索するとよい。なお、現在のところ目録のオンライン化は行われていない。どのような資料があるかは残念ながら現地に行ってみないと分からない((河北省檔案館が所蔵する資料の概要について知りたい場合は、河北省檔案館編『河北省檔案館指南』北京:中国檔案出版社、1998年、が有用である。))。そのため筆者は、資料出納の待ち時間などを利用して目録の筆写を試みた。ただ、数が膨大なため自分の関連する分野ですら写し終えることができなかった。参考までに、河北省文化庁に関する資料の目録の一部を【表1】として示す。どのような資料を所蔵しているのかここからイメージしていただければ幸いである。

***(4)閲覧 [#y318ad55]

資料を出納してもらう時は、カウンターに置いてある用紙に資料番号・資料名などを記入し、係員に提出する。1回の申請につき10巻までが限度である。申請してから10~15分くらいで資料が届けられる。

***(5)コピー [#n62ec56f]

資料をコピーする場合は、コピーしたい箇所に付箋を挟み(付箋には「○○~○○頁」というように記入)、カウンターに常備してある複写申請用紙に資料名を記入して、資料とともにカウンターに提出する。申請内容について係員が許可をすればその資料はコピー室に運ばれる。コピーが終わると、複写物とともに資料を返してくれるが、コピー機が1台しかないため、申請者が多い場合、長い時間待たされることもある。精算する時は、申請者自身でコピーの枚数は数え、カウンターに申告する。コピー料金は1枚5元(1949年以前の資料も以後の資料も同様)である。ちなみに、1回の申請で出納してもらった資料は、そのすべてを返却するまで新しい資料を出してもらうことができない。例えば、1度の申請で資料を10巻出してもらい、そのうち3巻をコピー室に回して複写を待っているとする。この場合、もはや不要となった残り7巻を返却して、新たに別の資料7巻を出納してもらい、コピーの待ち時間を利用して閲覧しようと思っても、それはできない。つまり、コピーに出している3巻も合わせた全10巻を返却しないかぎり、新たな出納申請をすることができないのである。作業効率を上げるためには、閲覧の申請をある程度戦略的に行う必要があろう。

**1.2 古旧書店 [#d0e4a4f7]

所在地:長安区中山東路201号 石家荘図書大厦5階

石家荘最大の書店である図書大厦の5階に古旧書店という古書店がある。10平米ほどの空間の中には、所狭しと書籍・雑誌が積まれていた。それでも書棚の整理はしっかりと行き届いており、民国期の資料・文革期の資料・河北省関係の資料・それ以外の古本といった区分けがなされていた。契約文書や檔案の類はほとんど置いていないようであった。

当店において筆者は、民国期の小学校で使用されていた教科書や、解放直後の小学生が使用したノートなど数点の資料を購入した。珍しい資料はあまりなかったが、売値が北京の古書店に比べてかなり安く、上記の教科書などは10元程度で買うことができた。

今回の調査で訪れた古書店は古旧書店のみであったが、おそらくこのほかにも古書を販売している店ないし市場があるだろう。次回以降の調査に期待したい。

*2. 天津 [#zcc835a9]

**2.1. 天津市檔案館 [#ab49a47c]
-所在地:南開区復康路11号増1号(南開大学の南側、天津図書館の右隣)
-電話:86-(0)22-23678909
-利用時間:月~金曜日 9:00~11:30、13:30~16:30

#ref(天津市档案館.JPG,,天津市檔案館)

***(1)利用申請 [#i7c77c62]

天津市檔案館を利用するためには1ヶ月前までに利用の申し込みをしなければならない。申請に際して必要なのは、河北省檔案館と同様に履歴書・閲覧申請書・中国の高等教育機関に勤務している人物からの紹介状である。筆者の場合、河北省檔案館に提出したものとまったく同じ様式で履歴書と閲覧申請書を作成し、それに紹介状を添付して直接檔案館に郵送した。閲覧が許可されればしばらくしてEメールなどで通知が来る。

***(2)檔案館での利用手続き [#wf2f7d2a]

天津市檔案館の入り口は少々分かりづらい位置にある。住所では「復康路」となっているが、門は「水上公園西路」沿いにある。タクシーの運転手には檔案館の場所を知らない者も多いので、道案内をする時には注意が必要である。

入館にあたっては正門左手の詰め所で登記をしなければならない。登記を済ませると小さな登記票のような紙を渡されるので、今度はそれを檔案館本館入り口に直立する門番に見せ、許可されれば晴れて入館となる。なお、上記の紙は退館の時にも必要なので、失くさないように気をつけること。

閲覧室は1階の西側にある。ロッカーに荷物を預け、閲覧室のカウンターで利用手続きをする。ここで必要なのはパスポートだけであるが、申請時に送付した書類のコピーおよび檔案館からのメールをプリントアウトしたものも一応持参しておいたほうがよい。係員から渡される用紙に研究内容・檔案の利用目的・閲覧を希望する檔案の範囲などを記入して提出すれば利用手続きは完了である。

***(3)検索 [#ca65f57b]

かつては閲覧室の外にあるカード目録で資料を検索していたが、近年では閲覧室備え付けのパソコンで検索できるようになった((目録データベースの利用方法については、パソコンデスクに説明書が備え付けられている。なお、検索用のパソコンは2台しかない。そのため、他の利用者と取り合いになることもある。また、データベースソフトはよくフリーズする。待っていても時間の無駄なので、フリーズしたらすぐにソフトを再起動することをお勧めする。))。また、天津市檔案館のサイト「天津檔案網」((http://www.tjdag.gov.cn))でも検索が可能である。時間の節約のためにも、あらかじめインターネットで検索しておいたほうがよいだろう((ちなみに、檔案館が所蔵する資料の概要だけを知りたいという場合は、天津市檔案館編『天津市檔案館指南』(北京:中国檔案出版社、1996年)があり参考になる。))。

***(4)閲覧 [#nc0901b1]

資料を出納してもらう時は、カウンターに置いてある申請用紙に氏名・所属・パスポート番号・資料の番号・閲覧目的を記入し、係員に提出する。1回の申請につき10巻までが限度であった。申請してから10分ほどで資料が出納される。

***(5)コピー [#s7b88b88]

資料をコピーする場合は、コピーしたい箇所に付箋を挟み(付箋には「○○~○○頁」というように記入)、カウンターに置いてある複写申請用紙に氏名・所属・パスポート番号・資料の番号・ページ数などを記入して、資料とともにカウンターに提出する(コピーできるのは民国期以前の資料のみ)。上級幹部の裁可を経てから作業に入るため、コピーを当日受け取ることができない場合もある。コピーを受け取ったら各自で枚数を紙の大きさ(大:A3・B4、小:A4・B5)ごとに数えて係員に申告し、代金を支払う。

なお、コピーを申請している間に、必要のない資料を返却して、新たに別の資料を出納してもらうことは可能である。

**2.2. 天津の古書店 [#jac6a21f]

「はじめに」で述べたように、筆者は天津の古書店について2003年に紹介したことがある。その際に取り上げたのが天津市古旧図書交易中心で、当時天津最大の古書市場であった。そこには様々な古書を販売する露店が軒を連ね、民国期以降の書籍・新聞・雑誌・檔案などが売りに出されていた。

しかし、古旧図書交易中心の動向はその後安定せず、移転・休止を繰り返した。そして、2007年頃には完全に姿を消してしまった。古旧図書交易中心に出店していた露天商たちがどこに行ったのかについてもよく分かっていない。天津研究にとって大変惜しまれる事態である。

とは言え、天津から古書店がなくなってしまったわけではない。現地の研究者やインターネットの掲示板などの情報を頼りに、筆者はいくつかの古書店を回ってみた。その成果について以下で紹介する。

***(1)古文化街 [#g0d01cb2]
-所在地:天津市南開区古文化街

天津を代表する観光地の1つである古文化街には古書店が数軒あり、それらはすべて街の北東エリアに集中している。なかでも有名なのが阿秋書屋((住所:古文化街文化小城D112。電話:86-(0)22-27353041。古書売買サイト「孔夫子旧書網」にも出店している(http://shop.kongfz.com/book/31/)。))で、主に共和国期に出版された書籍・雑誌を扱っている。少量ではあるが、民国期の書籍・雑誌なども販売している。

毎週土日には、これらの店舗周辺の路地で古書市が開かれる。古書市には10数の露天商が出店し、なかなかの盛況を呈している。天津の古書市としては目下最大のものと言える。露天商で販売しているのは、共和国期の出版物や絵葉書・切手などで、なかには民国期の書籍・雑誌などを売る店もある。なお、店舗・露天商に限らず、檔案はほとんど売られていない。

***(2)楚雄旧書店 [#y8b66b0c]
-所在地:南開区楚雄道淦江東里17号楼2門首層

#ref(楚雄旧書店.JPG,,楚雄旧書店)

天津市檔案館の北側の道路(復康路)を西に1キロほど行くと大きな立体交差(王頂堤立交橋)があり、楚雄旧書店はその北西の楚雄路沿いにある。店は非常に狭く、売っている本も決して多くない。ただ、筆者の知る限り、文革期の檔案の所蔵量に関しては天津のなかでも抜きん出ている。今回の調査において筆者も、文革期の個人檔案および天津評劇院関係の檔案若干を入手することができた。

かつて天津には、楚雄旧書店のように檔案を扱う店(または露天商)がたくさんあったが、近年ではめっきり減ってしまった。それゆえ、楚雄旧書店の存在は大変貴重である。ちなみに、主人の話では、以前に古旧図書交易中心で出店したことはないという。

***(3)その他 [#a0079af7]

上記以外の古書店についても簡単に紹介しておく。

①瀋陽道古物市場
-所在地:和平区瀋陽道(山東路との交差点付近)。

#ref(瀋陽道古物市場.JPG,,瀋陽道古物市場)

天津に古くからある古物市場。毎週木曜日が最も賑わう。骨董品の売買がメインのため、書物はそれほど多くない。また、売値も若干高めである。

②天祥古旧書店
-所在地:和平区和平路勧業場旧楼(天津勧業場は天津を代表する老舗デパート)。

民国期以前の線装本がたくさん売られており、値段は一様に高い。なお、天祥古旧書店の隣には天津古籍書店文津閣があるが、調査当日は残念ながら閉まっていた。外から覗いた感じでは、こちらにも線装本などが売られているようである。

*おわりに [#y26eafd8]

以上、石家荘と天津の檔案館・古書店について紹介した。河北省や天津市の歴史・社会・文化などについて研究する上で役立てていただければ幸いである。ただし、今後情況が大きく変わる可能性も否定できない。現地に赴く前に、インターネットなどであらかじめチェックすることをお勧めする。

最後に、今回の石家荘での調査では東京大学大学院人文社会系研究科の河野正氏および河北師範大学法政学院の張志永氏と霍宏偉氏に大変お世話になった。初めての土地にもかかわらず効率的な調査ができたのは、ひとえに彼らのお陰である。この場を借りてお礼申し上げたい。

|>|>|【表1】河北省檔案館所蔵河北省文化庁芸術処関係檔案目録(一部)綜号:1030,目録号:1|
|案卷號|題名|張數|
|>|>|1950年|
|98|本局有關戲曲改革工作的指導、報告|70|
|99|河北省各專市文工團和職業半職業劇團調查表|30|
|100|河北省各專市戲劇曲藝工作情況調查表|(一袋)|
|101|中央文化部發表和省局下達有關藝術工作的指示通知|139|
|>|>|1951年|
|102|本局召開重點劇團工作會議通知大會決議紀錄|89|
|103|全省文工團調查登記表和演出統計表|88|
|104|全省文工團會議報告、結論和獎品總結|34|
|105|河北省各專市縣重點劇團調查表|90|
|>|>|1952年|
|106|文化部頒發有關藝術工作的指示、通知函和本局向文化部的請示、報告|38|
|107|本局下達有關藝術工作的指示、通知函|138|
|108|全省職業藝術表演團體統計表|78|
|109|本局結束處理專市文工團的指示和抽調人員名單等|41|
|110|中央關於整頓和加強全國劇團工作的指示和本局關於加強戲劇事業的意見|29|
|>|>|1953年|
|111|中央頒發有關藝術工作的指示、通知、決定和本局向中央的請示報告|49|
|112|華北文化局頒發有關藝術工作的通知和本局華北局的請示報告|66|
|113|本局下達有關藝術工作的指示、通知函|42|
|114|本局有關停止、禁止劇團問題處理|30|
|115|本局有關藝術工作的計劃總結|27|
|116|河北省劇團工作會議報告結論紀錄|51|
|117|各專市職業劇團申請民營公助改國營問題的處理|139|
|118|本局有關調查私營劇團情況、通知及各地的報告|101|
|>|>|1954年|
|119|文化部、華北文化局有關藝術工作的來文和本局向上級的請示報告|36|
|120|中央文化部和本局下達有關藝術工作的指示、通知|101|
|121|本局下達有關藝術工作的指示、通知函|32|
|122|本局對停止、禁止劇目問題的處理|22|
|123|河北省職業劇團統計調查表|201|
|124|本局呈請批准"民間劇團登記暫行條列"和上級的批復|101|
|125|本局關於慰問中國人民解放軍演出的通知、指示|65|
|126|河北省第一屆戲曲觀摩會演大會的通知、計劃|48|
|127|河北省第一屆戲曲觀摩會演大會開幕詞、大會報告|69|
|128|河北省第一屆戲曲觀摩會演出大會會刊節目單||
|129|河北省第一屆戲曲觀摩會演出大會總結、報告|56|
|130|河北省第一屆戲曲觀摩會演出大會須知、守則、預算、組織機構、大會日程|60|
|131|河北省第一屆戲曲觀摩會演出大會評獎工作總結|20|
|132|河北省第一屆戲曲觀摩會演出大會各劇團參加戲曲會議以後的變化情況的報告|49|
|133|本局藝術工作簡則、計劃、總結|44|

&size(10){*本稿は日本学術振興会科学研究費補助金「近現代中国における伝統芸能の変容と地域社会(平成22年度、基盤研究(B)、課題番号:22320070、研究代表者:氷上正)による成果の一部である。};