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『太和正韻譜』にいう。

雜劇には「正末」、「副末」、「?」、「?」、「?」、「?」、「?」、「捷譏?」、「引戲」の九種類の役回りがある。「正末」とは、舞台上で指事できる男子のことで、俗に「末泥」という。「副末」は磕瓜*1を手に取って「靚」をどつくもので、すなわち古のいわゆる「蒼鶻」である。舞台上の妓女を「?」という。「?」とは雌の猿であり、色を好む。今では俗に訛って「」とする。「?」とは舞台上で役人に扮する者で、今では俗に訛って「」とする。「?」とは、おしろいや墨を塗って戯れ笑い媚びへつらうもので、おしろいは白く黛は緑であるため、古には「靚粧」と称された。そのため、「粧靚色」といい、今では俗になまって「浄」とする。妓女の年老いたものを「?」という。鴇は雁ほどの大きさで、後の爪が無く、虎の紋様、淫を喜び飽くことがなく、さまざまな鳥に求められれば即座に答える。世に「独豹」と呼ばれるものである。およそ妓女を総称して「?」という。猱もまた猿の類で、虎の肝や脳を好んで食べる。虎はこれを見るとかわいがり、背に乗せるが、猱はシラミを取って虎の首に遺し、虎がただちに死ぬと、その肝と脳を取って食らうのである。若者の色を好む者も、猱に出会ったようなもので、身を滅ぼさなくては止められないということを喩えている。「捷譏?」は、古には「滑稽?」と呼んだ。雜劇ではその便捷譏謔であることをとり、このように呼ぶ。「引戲」とは、すなわち院本の「狚」である。
また、次のように云う。
瓦肆構欄の中の楽屋の出入り口を、「鬼門道?」と呼ぶ。その扮する者がみな古の人で、ここを出入りすることから、「鬼門」と呼ぶ。愚かな俗人どもはそれを知らずに、門に太鼓が置いてあるので「鼓門道?」に改め、後にまた訛って「古」としているが、いずれも誤りである。(元曲ではあるものは「向古道」、あるものは「向古門道」と言っている。)蘇東坡の詩に「上演するのは古人の事、出入するのは鬼門の道」と見える。

(千田)

*1 鞭の類。

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Last-modified: 2016-08-19 (金) 16:30:38 (1094d)