中国伝統劇解説/京劇『紅灯記』

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占領地区某地の鉄道ポイント切り換え員・李玉和は中国共産党員だった。彼の一家は老母・李奶奶と十七歳の娘・李鉄梅の三人であったが、実は血族ではなく、十七年前の2・7ストライキのおりに、流血闘争を経て一つに結ばれたのである。家には革命の先人から送られた紅灯が一つあり、戦闘信号とされていた。

ある日、玉和は党組織の柏山ゲリラ部隊へあてた暗号電報転送の任務を受けるが、未だ任務を達成しないうちに裏切り者のために逮捕されてしまう。革命の闘士である李奶奶は、鉄梅に一家三代の歴史を切々と説いて聞かせ、試練に耐え闘争するように鼓舞する。鉄梅は紅灯を受け継ぎ、秘密電報を守ることを誓い、革命闘争に身を投ずる。

日本憲兵隊長・鳩山は秘密電報を手に入れようと、様々に玉和を脅しすかす。玉和は敵の酒宴の席上で、牢獄の中で、そして死刑に臨んでも、勇敢かつ頑強に節を守って屈しなかった。鳩山はさらに李奶奶を逮捕して秘密電報の行方を追及するが得られず、ついに残酷にも二人を処刑してしまう。

鉄梅は父と祖母の意志を継ぎ、党組織と群衆の援助の下、機知をはたらかせて敵の追っ手を逃れ、柏山に暗号電報を届け、勝利のうちに党の任務を完成する。

  • 1964年、阿甲・翁偶虹により上海愛華滬劇団の同名滬劇より改編された。ハルビン市京劇団が改編した《革命自有後来人》が1964年の現代戯観摩演出に参加、好評を博した。それを受けて中国京劇院が改編したのが《紅灯記》。
  • 原作は于遅雨、羅静の映画シナリオ《自有後来人》