中国伝統劇解説/京劇『花田錯』

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北宋の時代、桃花村の劉徳明の娘・月英は、下女の春蘭をつれて花田会見物に行き、渡仙橋に書画を売る書生の卞済と出会い、二人は恋に落ちる。それと知った春蘭は、卞済にその場で待つように言って、月英とともに村に帰り、徳明に卞済を婿として推薦する。喜んだ徳明は下僕を渡仙橋に遣わし、卞済を屋敷に迎えさせる。しかし、卞済は絵を書くために無理に連れて行かれており、下僕は留守番をしていた小覇王周通を間違えて連れ帰ってしまう。徳明は周通の粗暴な容貌を見て失望し金を渡して引き取らせようとするが、周通は納得せず、三日後に嫁を貰いに来ると言って去っていく。春蘭は月英に叱られ、急ぎ卞済を探し女装させて屋敷に迎え対策を相談しようとするが、周通が嫁盗みにやって来て、誤って卞済を連れ去ってしまう。時に生辰綱盗難の一件の調査のため、県の与力の朱同と雷横は、容疑者として周通を逮捕、周通は卞済を妹の玉楼に託して拘引される。卞済は玉楼に真実を告げ、二人は夫婦の誓いを立てる。そして卞済は玉楼の援助により科挙受験に旅立つ。一方、劉徳明は娘が周通に誘拐されたと思って朱同と雷横に救出を依頼、二人は誤って玉楼を連れ帰る。徳明は夫人の言葉により誘拐されたのが卞済だと知り、連れられてきた玉楼を卞済と間違えて、輿の中に男物の服を入れ着替えさせる。出てきた玉楼の姿が美しいのを見て、喜んだ徳明は吉日を選んで娘に式を挙げさせる。洞房の中、玉楼は月英に真実を告げる。周通は牢から出ると友人の李忠の援助の下、劉家に赴いて結婚を迫る。折よく魯智深が劉家に一夜の宿を借り、事情を知って激怒、女装して洞房で待ち受け、周通を痛めつける。逃げた周通は李忠と共に復讐に来るが、李忠と魯智深が知り合いであったため和解する。卞済は状元で科挙に合格、月英と玉楼、春蘭を妻にめとる。