2004-07-13

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『瞭望東方周刊』レポート

《瞭望东方周刊》2004年第27期に〈四、六级考试作弊利益链调查〉および〈严肃的考试制度何以堕落〉というショッキングなレポートが載っている。

まず前者は、吉林で実際に大学英語四・六級試験の替え玉受験の「枪手(ガンマン)」と接触・調査したレポート。

ある優秀な院生は、これまでに三度の大学院入試、二度の司法試験のガンマンをつとめて、全て合格、院は二万元、司法試験は四万元、英語四級は額が小さいので、院入試のおまけにつけている。

別のガンマンは、英語四級は1500元、六級は2500元、これまで八回やって全て合格。四平市の裁判所長の代理で六級を受けたこともある。

吉林大などの重点大学の学生・院生がガンマンの供給地で、シーズンになると、英語学科の学生・院生たちは大半が予約を受けて、午前四級・午後六級をこなす。

替え玉受験の仲介を行う企業も出てきている。新聞の家庭教師広告で「最短期間で絶対合格!」などとあるのがそれである。

不正受験の方法は二種類。一つは、替え玉受験。偽の身分証明書を利用する。江南の偽証明書の方が質が高いのでオススメ。はじめから入れ替わって受験する場合と、試験開始後に入れ替わり、終了前にもとに戻るやり方がある。もう一つは問題の不正入手。試験開始後、試験場外から携帯で解答を送信する。

程度の高くない非重点大学では、学生募集・集金に難儀している。このため、社会人の英語四・六級試験受験料収入がほしい。また、大学のランク付けが英語試験合格率で行われるため、合格率向上のために試験監督が甘くなる。吉林では吉林電大が一番甘い。

後者は、試験制度の問題を論じたものである。英語四・六級試験が大学卒業および就職の条件とされていることから、英語に興味のない学生まで受験しなくてはならず、負担が大きいことを指摘している。また、ガンマンの業務範囲は、英語試験のみならず、社会人大学受験・大学院受験・コンピュータ試験・TOEFLIELTSにまで及んでいるそうだ。

これぞ、学術腐敗・倫理無き市場経済化の極致と言うべきであろう。試験負担が重いのは確かにその通りであろう。しかし、問題は、試験監督者(=教員)・受験生(およびその家族)のモラルの低さ、それと、試験実施方法の甘さであろう。日本の入試や資格試験では、途中退出が認められることはまずあり得ない。しかし、中国では、途中退出に関する制限が設けられたのは今年からである。また、携帯通信機器のスイッチは全て切らせ、机の下には荷物を置かせないものであるが、中国ではそのような制限は無いようである。また、学生は自分の大学で試験をうけるようだが、これも、試験会場をランダムに割り当てる、などの対策が必要であろう(それでも、試験監督(=教員)間の談合事件は起こりそうだが)。

しかし不思議なのは、大学にせよ企業にせよ、証明書に頼らず、自ら必要な人材を選び取るという姿勢が日本ほど明確でない点である。日本では、入試問題はその大学がいかなる学生を集めたいかというメッセージであると理解されている(少なくとも、私のところでは)。ところが中国では、不正の横行する統一試験の成績のみで学生を選び取る。企業も、英語力が本当に必要とされているのであれば、キチンと試験を課すはずである(逆に、大半の企業では、国家・大学が要求するほどの英語力は必要とされていない、ということなのかもしれないが)。

このような現状がある以上、我々が中国からの人材を受け入れる際には、勢い慎重にならざるを得まい。ネットで認証できる重点大学の卒業証書以外は信用せず、日本側担当者の立ち会いのもとに行われた試験以外は成績判断に用いない、くらいのことは必要であろう。

海外がこぞってこのような対策を取りだしたとき、一番損をするのは中国と中国の学術・教育界自身なのである。国民性とはいえ、短絡的に目の前の利益のみを追いかけるのは、いい加減にしてもらいたいものだ。