*はじめに [#o54512ab]
MS Officeは高度な多言語機能を持っており、その充実度は他のソフトの追随を許さない。しかし、そうした多言語機能は、一般のマニュアルに記載されず、あまり知られていないのが現状だ。以下では、Word 2007に絞って、中国語を処理する上で有用な機能を解説する。
*中国語データの貼り付け [#jd38ef97]
Wordでは、Webの中国語テキストを日本語や英語の文書と同様に、簡単にコピー&ペーストできる。しかし、Webのテキストをそのまま貼り付けると、元の書式情報やリンクが保持されてしまい、デザインが乱れてしまう。
この問題を回避するために、Webからの貼り付けの際には、Unicodeテキストとして貼り付ける([[南方都市報>http://epaper.nddaily.com/]]の記事から適宜データを選んで、貼り付けてみよう)。
-「貼り付け」アイコン下の「▼」をクリック、「形式を選択して貼り付け」
|#ref(word01.png,nolink)|
-「Unicodeテキスト」を選択
|#ref(word02.png,nolink)|
中国語のテキストを貼り付けたとき、日本語のMS明朝などのフォントに自動で設定されてしまい、デザインが乱れることがある。その場合は、貼り付けた文字列を選択して、中国語フォントに切り替える。Windows(2000~7)では、以下のフォントがデフォルトで搭載されている。
-SimSun(簡宋体)
-SimHei(黒体)
*高度な中国語処理 [#w2dae942]
**Multi Language Pack [#q10a3070]
Officeでは、当該言語版以外の様々な言語を使いこなすための追加パッケージが用意されている。それが、Multi Language Pack(MLP)だ。MLPを導入すると、各言語のインターフェイス、校正ツール、追加フォントなどがインストールされる。
MLPによって実現できるWordの中国語関連機能は以下の通り
-単語の自動認識機能
-ピンインの自動ルビ振り
-簡体字・繁体字の相互変換
-文章校正
-追加フォント
-
-中国語インターフェイス
MLPは、しかし2万円円以上もする高価なソフトであり、おいそれと購入できるものではない。
**ピンインルビを振る [#b72c641c]
上記の機能のうち、ピンインの自動ルビ振りは、使用するWindowsのバージョンが2000/XPであれば、MLPを追加することなく、利用することができる。以下、Windows XP上でWord 2007を使用するという前提で解説する。
ルビを振る前に、まず、ルビを振る部分の言語を設定する。
-ルビを振る文字列を選択する。
-Wordのステイタスバーの「日本語(日本)」などのように言語が表示されている部分をクリック。
|#ref(word03.png,nolink)|
-「言語の選択」で「中国語(簡体字、中国)を選択。
|#ref(word04.png,nolink)|
これで言語の選択は完了した。ルビは、文字列を選択し、フォントメニューのルビアイコンをクリックして振る。一度にルビが振れるのは30単語まで。MLPが無い場合は漢字一文字一単語として扱われるので、30文字までとなる。
|#ref(word05.png,nolink)|
|#ref(word06.png,nolink)|
ピンインは、Times New Roman、Arial Unicode MSなどのUnicode対応欧文フォントで表示できるが、声調符号が見にくい。綺麗にデザインされたピンインフォントが欲しい場合は、本サイトから[[ピンインフォント>中文電脳/ピンインフォント]]をダウンロードしていただきたい。
なお、MLPの無い環境でルビを振る際には、事前に、半角スペースで単語を区切っておいた方が、効率が良い。
*おまけ:その他のピンインツール [#c932158f]
ネット上でじゃ、漢字→ピンイン変換ツールがいくつか公開されている。手元のPCでピンインルビが振れない場合、それらのツールを利用することもできる。
**中国語教師用クラス名簿一発作成ツール [#h0a52651]
http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~suzukis/chinese/meibo.htm
京都産業大学の鈴木慎吾が公開するツール。本来は、タイトルどおりの用途に使うもので、左のボックスに漢字を入力し、ボタンを押すと、漢字→簡体字・ピンイン変換してくれる。もちろん、単語カード作りなど、名簿以外の用途に使うこともできる。
中国語の文のピンインを調べるときは、あらかじめ中国語の文を、単語やセンテンスごとに改行・スペースなどで区切っておいた方がよい。そうしないと、原文とピンインとの対応が探しにくくなる。
ただし、ピンインの変換は、人名が前提となっているので、例えば「都」の読みがデフォルトでは「dou」ではなく「du」になるなど、若干の癖があるので注意して欲しい。