2004-06-21 の変更点

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**英語四級考試問題漏洩事件 [#aef7fa41]

6/20に実施された大学共通英語実力試験、替え玉受験防止のため、
身分証明書・学生証・受験証の携行を義務づけるなど、それなりに対策が
とられていたようですが、しかし、やはり問題の漏洩が発生していました。

[[北京青年報>http://bjyouth.ynet.com/article.jsp?oid=3375539]]によると、試験終了後、ある受験生が、前日、某BBSに、この英語の問題の模範答案つくってよ、と書き込まれていたのと同じ問題が実際に出題された、と訴え出たとのこと。また、武漢では、実力試験ではあり得ないカンペ持ち込みが発覚、問題と対応する解答が書かれており、しかも同様のカンペ持ち込み者が7名発見されとのこと。事件は目下調査中ですが、問題のカキコのIPの南寧、今年の出題担当だった[[上海>http://news.ynet.com/view.jsp?oid=3374961]]などにいろいろと飛び火している模様です。

それにしても、[[湖南での高校受験問題漏洩のニュース>http://xwgl.rednet.com.cn/show.asp?id=495380]]などを見るにつけ、教育腐敗の根深さを感じます。

問題の第一は、目前の利益のみを追求する学生・教育関係者の存在です。中国の某PC雑誌に、現在の中国の市場経済化は、アダム・スミスの『国富論』ばかりを喧伝し『プロテスタンティズムの倫理~』に言及しない経済学者にミスリードされた結果、個人の利益追求が過度に重視され、犯罪すらもいとわない悪しき風潮をもたらした、というしごくまっとうな評論が載っていましたが、試験不正問題はその教育現場におけるあらわれと言えます。試験問題を事前に盗み見て、学生を集めて有料の特別講義を開催すれば、それはお金はもうかるし学生の試験成績=教育実績も上がるので、一石二鳥だと思うのでしょう。しかし、そのために大学どころか中国の教育システム全般の信頼が損なわれることは、中長期的に中国の学生や教育機関に甚大な損失をもたらすでしょう。また、そのような教育を受けて育った若者は、招来どのような人物になるのでしょうか?
問題の第一は、目前の利益のみを追求する学生・教育関係者の存在です。中国の某PC雑誌に、現在の中国の市場経済化は、アダム・スミスの『国富論』ばかりを喧伝し『道徳情操論』に言及しない経済学者にミスリードされた結果、個人の利益追求が過度に重視され、犯罪すらもいとわない悪しき風潮をもたらした、というしごくまっとうな評論が載っていましたが、試験不正問題はその教育現場におけるあらわれと言えます。試験問題を事前に盗み見て、学生を集めて有料の特別講義を開催すれば、それはお金はもうかるし学生の試験成績=教育実績も上がるので、一石二鳥だと思うのでしょう。しかし、そのために大学どころか中国の教育システム全般の信頼が損なわれることは、中長期的に中国の学生や教育機関に甚大な損失をもたらすでしょう。また、そのような教育を受けて育った若者は、招来どのような人物になるのでしょうか?

こういった「学術腐敗」の背景には、教員給与の安さ、大学における過度の業績主義の導入といった中国の教育界がかかえる懸案があるのも確かです

一方、中国の試験や試験制度、そのものにも問題があるものと思われます。漏洩した英作文の問題は、

>A brief introduction to tourist attract

自由作文問題です。高考の問題もそうですが、全般に中国の試験問題は概してこの種の自由作文が多く出題され、日本の各種試験とはかなり様子がことなるような印象をうけます。その意味では、出題側にも工夫の余地が多いと言えるでしょう。

また、試験主催者と試験会場についても、再考の余地があるでしょう。高考(大学入試)の会場は、それぞれの受験生の所属する高校、英語四級考試も大学で実施されます。通常の人間関係の延長で重要な試験が実施されることになるわけです。このため、不正が発生する余地が高くなります。
試験の入退出や物品持ち込みなどの規則も、日本の大学入試などにくらべて遥かに甘いようです。

これらの問題を、政府あるいは教育界がいかに解決していくのか、今後の具体策に注目していきたいと思います。