中国伝統劇解説/京劇『打漁殺家』

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梁山泊の英雄・蕭恩と娘の桂英は漁師を生業としていた。ある日、土豪の丁員外は人をよこして漁税を要求して来たが、蕭恩はそれを払う術もなかった。そのとき、蕭恩は混江龍李俊・巻毛虎倪栄と船上に酒を飲んでいたが、徴税人の態度に怒り、追い返した。丁員外は武術師範にチンピラをつけて強制徴税を図るが、逆に打ち破られる。蕭恩はお上に罰せられることを恐れて自首するが、県令呂秋子は丁員外と結託し、四十たたきの刑に処した。蕭恩は怒りを抑えきれずに、“慶頂珠”の献上に事寄せて、桂英とともに丁家に入り、丁員外と武術師範を殺害して逃走する。

  • 陳忱の小説《水滸後伝》第五十回から変化・発展したものと言われる。斉如山によれば、もと秦腔《慶頂珠》の一部であったという。梆子腔諸劇・川劇・湘劇・徽劇などにも同様劇目が見える。
  • 京劇の名作の一つで、往年、譚鑫培と王瑤卿の共演は神品と称された。劇中の〔西皮慢板〕の唱は譚鑫培の創始であり、蕭桂英の服飾は王瑤卿の設計になる。また、解放後は周信芳の代表作として知られた。