中文電脳/中国語ソフト(学術系)

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このページは、大修館書店刊『コンピュータで中国語 Win&MAC』掲載原稿を改訂したものです


ここでは、中国・台湾などから続々と出版されている、学術系ソフトについて紹介する。この種のソフトは非常に数が多く全てを取り上げることはできないので、ここに紹介できなかったソフトについては、『電脳中国学』の紹介記事等を参照されたい。

漢語大詞典(香港商務印書館)

ご存じ『漢語大詞典』のCD-ROM版だ。 見出し語はピンイン・筆画から検索する方式ですが、任意の文字を指定しての検索にも対応しています。語釈画面にハイパーリンクが埋め込んであって、関連する見出し語にジャンプすることもできます。これだけ大部の辞書になると、目的の熟語を求めてページをめくるのが一苦労ですが、CD-ROM版ではその負担が相当軽減されます。 このほか、語句の音声読み上げや、印刷・ブックマークなど、多彩な機能が備わっています。 しかし、まだまだ問題が多いのも確かです。まず、用例がほとんど入っていません。ざっと見たところ、用例のついている熟語は、十に一つほどしかありません。(バージョン2では全用例が入るとのこと。) 現状では、『広辞苑』のように語釈だけを引くことしかできないので、学生やビジネス用途には十分かもしれませんが、学術目的に使うには不足です。紙本のページ数も入っていないので、索引がわりに使うこともできません。 また、インストーラーにバグがあり、Cドライブ以外にセットアップされたWindows NTにインストールすることができません。このため、Dドライブに大陸版Windows NTをセットアップしている場合は、残念ながら使うことができません。 総じて、学術利用には不足な部分もありますが、一般的な中国語辞書としての使用には十分すぎる機能と内容を持っていると言えるでしょう。

『文淵閣四庫全書』CD-ROM(武漢大学出版社)

『文淵閣四庫全書』の全ての写真画像を、150枚のCD-ROMに収録してある。画像なので検索はできないが、膨大な『文淵閣四庫全書』がわずか数十万円で手に入り、書棚一段分ほどの場所に収まるのは魅力である。ただ、この分量に収めるために画質はかなり落とされており、印刷しても一葉が名刺大にしかならない。

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なお、現在『四庫全書』全文のテキスト入力作業が進められていて、今世紀中にはより鮮明な画像と全文検索機能を備えた『四庫全書』CD-ROMが発売される予定である。実に八億字にものぼる巨大な漢字データベースを自在に操れる時代がまもなくやってくるのだ。これにより、中国学の方法は大きな変革を迫られることだろう。詳細は、http://www.sikuquanshu.com/参照。

《北京日報》《北京晩報》97全文数拠光盤(北京日報社)

中国の新聞のデータベースとしては人民日報のCD-ROM版が有名だが、北京の地方新聞として知られる北京日報・北京晩報も、1998年より単年版全文データベースの販売をはじめている。

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検索対象には、日報・晩報のいずれかを指定する。両方同時に設定することはできない。あとは、キーワードを入力して全文検索するだけだ。and・or・not検索にも対応している。検索すると、検索結果ウィンドウがあらわれ、記事の題名をクリックして本文を読むことができる。こうして検索した本文は、ファイルに保存できるので再利用が可能だ。

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新聞のCD-ROM全文データベースは、近現代の歴史・社会・文化・言語などを研究する人にとって、非常に有効な研究工具となることだろう。中国の出版業界がCD-ROM出版を急速に進めている一因は紙不足にあるという。だとすれば、全国の各新聞社がこぞってCD-ROMデータベースの発行に力を入れてくるのではないかという期待も膨らむ。

CD-ROM版日中/中日統合辞典(小学館)

これは日本語版のソフトなのだが、ここで紹介しておく。

小学館の日中・中日辞典の電子版は、Chinese Writer V4やcWnn98におまけで付いている。意味を検索するだけならばそれでも十分だが、この「日中/中日統合辞典」は単体発売版であるだけに、おまけ版にはない豊富な機能を備えている。

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まず中国語の検索だが、ピンイン・注音で発音を入力する、もしくは漢字検索機能を使って部首・GBコード・日本語読みなどから検索したい漢字を探すことになる。日中辞典の方は、直接日本語を入力するだけと簡単。下にあらわれた語彙をクリックすれば、右側のウィンドウに語釈が表示される。スピーカーのアイコンをクリックして発音を聞くこともできる。語釈の青く表示されている部分はハイパーリンクになっていて、関連箇所にジャンプできる。いもづる式に関連語句を検索することができて便利だ。このほか、挿し絵・地図・囲み記事などを表示・検索したり、重要語句や日常・旅行会話の発音を聞くこともできる。特に、中国語学習者に最適の辞書だといえよう。

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しかしまだまだ不足な部分があるのも事実だ。中国語フォントにはShift-JISコード領域に中国の漢字をならべた独自コード方式を採用しているため、「国際版」という割には中国語版Windowsで動作しないし、その独自コードの漢字を入力するためのIMEがないので、中国語の漢字を直接入力して検索することもできない。次期バージョンではUnicode内部処理化するなどして、例えば日本語IMEで漢字を入力したり、インターネットの中国語ページからコピーした文字を検索文字入力ボックスに貼り付けることで発音や意味を検索できるように、ぜひとも改善してほしい。 また、日本ではCD-ROM版の方が紙本より値段が高いのが普通だが、学生にも買えるよう、せめて紙本と同じくらいまで価格を下げてもらいたいものだ。