1.NetscapeNavigator4とInternetExplorer4 †
マイクロソフトの独禁法訴訟で、最大の争点となっているのは、ブラウザソフトの問題です。ブラウザとはインターネット閲覧ソフトのことで、NetscapeNavigatorとInternetExplorerが市場を二分しています。
NetscapeNavigatorは、長らく世界標準の地位にあったブラウザで、Netscape社の製品です。最新バージョンは4です。最近、無料配布に切り替わったので、雑誌のおまけCD-ROMなどからインストールしても、試用期限を気にすることなく利用できます。多言語対応機能も充実し、後で説明するように言語を設定すれば、問題なく中国語ページを閲覧できます。また、拡大パッケージであるNetscapeCommunicator附属のMessengerは、世界標準と言ってよい電子メールソフトで、各言語のメールを授受することができますし(中国語等を入力するためには、Big5/GBコード対応の中国語入力ソフトを別途入手する必要があります)、ユーザー管理機能が充実しており、個人情報・メールボックスを、MO・Zipなどのリムーバブルメディア(移動可能な大容量記憶媒体。フロッピーディスクの大容量版だと思ってください。)上に作成でき、複数のパソコンで共有させることも可能ですので、研究室などの共用パソコンで、ハードディスク上に情報を残さずにマルチユーザー電子メール環境が構築できるという利点もあります。
InternetExplorerは、マイクロソフト社が開発、配布しているブラウザで、最新版はバージョン4です。InternetExplorerは、また、多くの問題を抱えたソフトであることも確かです。例えば、ネットワーク上で、外部からの不法侵入からコンピュータを守るセキュリティ機能は、Netscapeと比較して、穴が多いとされます。また、標準添付のメールソフト、OutlookExpressはインターネットの世界では厳禁とされている半角カタカナを使用できてしまうため、他のソフトでは読めないメールが横行するなどの問題も起きています。こういった問題はあるものの、InternetExplorer4独自の文字コード処理機能は、大変便利かつ魅力的であり、インターネット上で中国語ページを利用する上では、既に欠くことのできない存在になっています。
2.中国語フォントの入手 †
中国語を日本語環境で利用するには、まず、フォント(文字セット)を入手しなくてはなりません。幸いなことに、現在、必要なフォントは全て無料で配布されています。マイクロソフト社のInternetExplorer用ランゲージパックがそれです。ランゲージパックには、簡体字中国語(Simplified Chinese。中国。)・繁体字中国語(Traditional Chinese。台湾。)・ハングル・汎ユーロの四種類があります。漢字関係では、簡体字中国語・繁体字中国語を導入すれば十分です。ハングルを扱いたければ、韓国語をセットアップします。また、汎ユーロを導入すると、欧州諸言語が表記出来るようになります。IPAなどにも、ある程度対応できます。
これらのフォントの入手は比較的簡単です。パソコン雑誌の附録CD-ROMに収録されていることもありますし(圧縮されていることが多いので、その場合は雑誌附録の解凍ソフト等を利用して、解凍する必要があります。)、MS-FrontPage97/98やIE製品版、WindowsNTのCD-ROMにも収められています(これらは、「.exe」という実行ファイル形式で作られており、エクスプローラでファイルを表示してダブルクリックするだけで、導入が実行されます)。また、Office97やWord97/98のバリューパックに収録されている、FarEastサポートを実行しても、中国・台湾・韓国の必要なフォントが組み込まれます。
ファイル名一覧 | JIS | Big5 | GBK | KS | 汎ユーロ |
ランゲージパック | ie3lpkja.exe | ie3lpktw.exe | ie3lpkcn.exe | ie3lpkko.exe | ie3lpkpe.exe |
手元にランゲージパックのファイルが見つからない場合は、マイクロソフト社のホームページから入手することも可能です。
※以上の解説は、IE3.0向けです。現在では、フォントの入手方法も変更されています。また、IE4以上のバージョンでは、別の解説文書をご参照ください。
Big5 | GBK | KS | 汎ユーロ | |
IE | MingLiU | MS Song/MS Hei | GuliuChe | LucidaSansUnicode |
(新細明體) | (MS宋体/黒体) | (Unicodeフォント) |
MingLiUフォントは、台湾版WindowsNT4.0の標準フォントです。台湾版Windows95のフォントMingLiをベースに、Big5に含まれない異体字を、Unicodeの規格に沿って増やしています。
MS Song/MS Heiフォントは、GBKコードのフォントです。GBKコードは実質的にはUnicodeと言ってよいものです。従って、これらのフォントは、UnicodeのCJK統合漢字を網羅しており、Unicode漢字フォントとして使用することもできます。GBKは、中国版Windows95から採用されていますが、恐らく返還後の香港を文字コードでも統一するために、制定されたのでしょう。
3.ブラウザの言語設定・切り替え方法 †
InternetExplorer4では、フォントをインストールしさえすれば、言語とフォントの関連づけ設定が自動的におこなわれます。中国語ページを閲覧していて文字が正常に表示できなかったら、〔フォント〕アイコンを左クリックするか(文学部PCでは消されています)、〔表示〕〔フォント〕、もしくは右クリック〔言語〕で切り替えることができます。
- 練習
- ここをクリックして、ページを開いて下さい。表示されたら、言語を繁体字中国語に切り替えてみましょう。
NetscapeNavigatorの場合、言語とフォントとの関連づけを設定しなくてはなりません。設定ウインドウは、[編集][設定]で呼び出します。“カテゴリ”ウインドウの[表示]の下位にある[フォント]を一回クリックすると、以下の画面があらわれます。[フォント]が見えないときは、[表示]の左の「+」記号を一回左クリックしてください。
ここで、文字コードセットとプロポーショナルフォント・固定ピッチフォントとの関連づけを設定します(文学部設置PCのフォント設定は不完全ですので、以下のように設定し直してください)。日本語は、プロポーショナルフォントに「MS P ゴシック」固定ピッチフォントに「MS ゴシック」を選択します。日本語版NetscapeNavigatorでは、台湾Big5コードは“中国語”とだけしか表示されない点が、InternetExplorerと異なっています。GBコードは“簡体字中国語”です。フォントは、プロポーショナル・固定ピッチともに、同じものを指定します。中国語は「MingLiU」、簡体字中国語は「MS Song」もしくは「MS Hei」、韓国語は「GulimChe」です。“Unicode(UTF-8)”には、MS Song もしくは MS Heiを設定しておくと、Unicode使用ページの閲覧も可能になります。
ここで注意点ですが、言語の設定をする場合は、一言語(一コード)を設定するごとに、「OK」を押して、設定ウインドウを閉じましょう。複数の言語を一度に設定しようとしても、最後に設定した言語・フォントの情報しか保存されません。
インターネットを閲覧していて、文字化けが発生したら、[表示][文字コードセット]で言語を切り替えてください。
4.InternetExplorer4の“Unicode内部処理” †
以上のように、無料配布のソフトを入手するだけで、中国語ページの閲覧は可能です。しかし、学術サイトの検索機能を利用するには、表示できるだけでなく、中国語が入力できなくてはならない。InternetExplorer4の最大の利点は、独自のUnicode内部処理機能によって、中国語検索にも対応できるところにある。
その機能はいかなるものか、NetscapeNavigatorと比較実験してみましょう。まず、次のページを左クリックして開いてください。
Yahoo!Chinese(雅虎中文) http://chinese.yahoo.com/
真っ白で何も表示されないのも、文字化けですので、前述の方法で言語を繁体字中国語(中国語)に切り替えてください。次に、今使っているのがInternetExplorerであればNetscapeNavigatorを、NetscapeNavigatorであればInternetExplorerを立ち上げて、同じページに移動してください。[アドレス]もしくは[場所]の隣に表示されているURL(ホームページの住所)を、コピーして(URLの上にカーソルを合わせて、左クリックしたまま移動させて、全ての文字を反転させます。次に反転した部分の上にカーソルを置き、右クリックして[コピー]を選択します)、新しく開いたブラウザの同欄に貼りつけて(URLの上にカーソルを合わせて、左クリックしたまま移動させて、全ての文字を反転させ、右クリック[貼りつけ]を選びます。)Enterキーを押してください。
Yahoo!Chineseの画面が現れたら、日本語の変換辞書を使って、検索語ボックスに適当な検索語を入力しましょう。例えば「日本」と入力してみましょう。
すると、NetscapeNavigatorの場合は、文字が化けて読めなくなり、検索もできません。しかし、InternetExplorerの場合は、入力も、検索も、問題なくできます。
従来、インターネット検索のために中国語を入力するには、専用の中国語入力ソフトを購入する必要がありましたが、InternetExplorer4では、この問題がほぼ解決されているのです。これは、InternetExplorer4のUnicode内部処理機能によって実現されているのです。
上図のようにInternetExplorer4は、受け渡しする全ての文字コードを、内部で一度Unicodeに変換しています。そのため、Unicodeがフィルタの役割を果たし、JISからBig5へと内部で自動変換されるのです。NetscapeNavigatorは、ストレートに文字コードを通すため、日本語入力で、中国語の検索をすることは不可能です。
しかし、これでも若干の問題はあります。台湾のデータベースを検索するためには、Big5コードに収録されている繁体字を正確に入力する必要があります。またBig5コードには約一万三千字が全て正字体(繁体字)で収められているのに対して、JISコードでは常用漢字体も含めて約六千字しか収録されていないため、検索できる文字が限られてしまいます。簡体字の入力もできません。
また、「説」は下図のように、Unicodeで統合されていないため、日本語環境で「説」と入力しても、台湾データベースを検索することはできません。「歳」も同様です。逆に、JISの「為」とBig5の「爲」は、Unicodeでは統合されており、JISの「爲」は別字扱いになっているので、台湾データベースの「爲」を検索する場合は「為」と入力することになります。
Unicode | JIS | Big5 | |
説 | 8AAC | 3266 | |
說 | 8AAA | BBA1 | |
歳 | 6B73 | 2648 | |
歲 | 6B72 | B7B3 |
このようなJISコードに無い文字の検索は、Word・一太郎等のUnicode対応ワープロソフトとの連携で可能になります。その手順については、Word98による多漢字文書の製作?で詳述します。