中国伝統劇解説/京劇『斬経堂』

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王莽は劉秀を捕縛するよう命令を下した。潼関の総鎮・呉漢は、関所で劉秀をとらえ、帰って母に告げる。呉母は漢室を忘れず、かつ王莽が夫の仇があったため、劉秀を直ちに放ち、元帥旗を切り倒させた。また、呉漢の妻・王蘭英が王莽の娘であったため、呉漢に殺して首級を持ってくるように命じた。呉漢は王氏が賢徳であるため、手を下すに忍びなかった。呉母は呉父が害された情況を細かに話して聞かせた。呉漢は復讐を心に決め、経堂に向かった。その時、蘭英は読経して、王莽のために罪を懺悔し、併せて呉母の長寿を祈っていた。呉漢は母命に逆らいがたく、事実を話した。蘭英は驚き、再三哀訴し、呉漢は進退きわまる。蘭英は遺体を山の上に葬り、碑を立てて、〈漢故王蘭英之墓〉と記し、他日祭ってくれるように頼み、剣を抜いて自刎した。呉漢は首を落とすに忍びず、持っていって呉母に確かめさせた。呉母は蘭英の賢孝をたたえ、呉漢に漢を助けて王莽を滅ぼすように命じた。呉漢は家で母に仕えることを望むが、呉母は呉漢に早く功績を立てさせようと、首を吊って死ぬ。呉漢は悲痛してやまず、兵士を解散し、屋敷を焼き払うと、平陽に向かった。

  • 麒派(周信芳)の代表作。