中国伝統劇解説/京劇『烏龍院』

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  • 下書殺惜、宋江閙院

県役人の宋江は閻惜姣を買って妾とし、母とともに烏龍院に住まわせた。宋の門弟・張文遠は、留守に乗じて院に出入りして閻にとりいる。閻も彼の年若く風流なのを気にいり不義に及ぶ。ある日、二人が烏龍院で密会しているところに宋が来たため、張は急ぎ閻の母の部屋に隠れた。宋は閻の冷淡な態度と、張との私通の噂から疑念を抱き、閻を問いただす。はじめはごまかしていた閻だが、宋が追及してやまないため、直言はばからず罵るに至る。宋は怒り、永遠に烏龍院に入らないと誓いをたてる。

時に、梁山泊の豪傑・劉唐が宋への礼状と金銭を携えて夜闇に乗じて訪れる。宋はその書状のみを受け取り、劉を帰らせる。帰途、宋は閻の母と出くわし、無理矢理に烏龍院につれてゆかれる。翌朝、烏龍院を後にした宋は、劉の書状を落としたため、慌ててとって返す。書状を得た閻は、宋を脅して離縁状を書かせ更に金銭を要求するが、激昂した宋に刺殺される。

  • 小説《水滸伝》から。小説では閻馬惜に作る。
  • 別名《宋江閙院》。《劉唐下書》《殺惜》と連演するものを《坐楼殺惜》と称する。
  • 麒派(周信芳)の代表作。