口福居

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以前、日本で、もつ鍋ブーム、続けてしゃぶしゃぶブームがあった。消費者にとっては鍋料理のゴージャス感を味わえることが、店側としては濃厚なスープやタレの味でごまかしがきくので原材料費が安く上がるのがブームの原因であったと記憶している。

中国の涮羊肉も、ある意味同じような面がある。涮羊肉の味は肉の質もさることながら、タレが最も重要となるが、そこらの街角の店では出来合いのタレを出すことも多い。以前、上海で涮羊肉したとき、市販の川崎のタレがパックのまま出てきて興ざめした記憶がある。流石に格式を誇る涮羊肉店では、独自に調合したタレを出す。芝麻醤をベースに醤油・腐乳などを混ぜ合わせたものが一般的だ。

北京の涮羊肉店といえば、東来順と能仁居ということになるが、経済発展にともない食の事情も一変した九十年代以降、涮羊肉の新興店として台頭したのが口福居である。風味のよいタレと質の良い羊・牛肉で人気を集め、かの鞏俐を初めとする多くの芸能人・著名人を顧客に持つことでも知られる。

もとは白塔寺近く、趙登禹路の“火鍋一条街”に店を構えていたが、その一帯が2002年に再開発になったため、本店は城鉄知春路站の隣に移転した。

さて、リニューアル口福居は、“火鍋城”を称している。知春路店のドアの脇には金庸作の巨大な対聯が掲げられている。

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店はだいぶん大きくなった。一階はテーブル席で、ガスコンロと大鍋の涮羊肉、個人毎の小鍋の涮羊肉のほか、電子調理器による鴛鴦火鍋席もある。メニューには、各種羊・牛肉やセンマイ・牛骨髓などの外、海鮮も加わっている。

涮羊肉の味は、嬉しいことに全く落ちていない。内蒙古の専用牧場で肥育された肉も相変わらず上質で、柔らかく臭みが無い。香菜とネギを混ぜた胡麻タレで、糖蒜をかじりながら羊を食べると、ついつい食べ過ぎてしまう。 ただ、前菜のワゴンから北京の伝統小菜が減ったのは残念である。


口福居Webサイトによれば、口福居は現在全国に38店舗を展開しているそうだ。秘伝のタレの工場生産化にも成功し、さらなる規模拡大を目指しているという。あの味が全国各地で賞味できるのは嬉しい限りだが、しかし、規模拡大にクオリティーコントロールがついていけるのか、一抹の不安を禁じ得ない。