中文電脳/中国のソフト(教養系)

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このページは、大修館書店刊『コンピュータで中国語 Win&MAC』掲載原稿を改訂したものです


ここではちょっとくだけた、教養系ソフトを紹介する。教養系といっても、いずれもマルチメディア的手法を駆使して、中国の歴史・文化・社会などについて解説したものなので、趣味はもちろん教材としても十分に利用可能だ。

清明上河図(得意伝播股份有限公司)

台湾故宮博物院公認ソフト。以下に紹介するのは中国語版だが、姉妹編の故宮博物院CD-ROMとともに、富士通から日本語訳版が発売されてる。

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故宮博物院所蔵の清院本『清明上河図』をマルチメディアCD-ROM化したもので、絵画の全体をパソコン画面で鑑賞できる。このほか、さまざまな機能が付属していて、例えば画面下のメニューから「懐錦」を選択して画面の任意の部分をクリックすると、二段階で局部を拡大できる。また「賞趣」では、表示部分に描かれた内容をピックアップして解説すると同時に、青く表示された見所をクリックすると、その場面の拡大画像が効果音(豚やアヒルの鳴き声、掛け声から、人がロバから落っこちる音まで)付きで表示される。このほか、絵に出てくる人物・道具などを主題ごとに紹介する「拾采」、文献資料を含めた解説「究本」などなど、盛りだくさんの機能を備えている。

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紫禁城(香港商務印書館)

副題は、「中国文明之窓」「故宮芸術精華」。三枚組(分売あり)で、広東語/英語版と国語版があります。故宮の建築物・芸術・生活などを、豊富な絵画・写真・3Dコンピューターグラフィック(CG)画像を交えて紹介している。動画は無いが、テレビのドキュメンタリー番組のように仕上がっている。

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例えば、建築の紹介では、全体の配置から個別の建物の構造(柱・屋根・基壇など細かく選べる)までを、実写とCGを交えて解説している。また、康煕帝・乾隆帝・溥儀の平生を絵画・写真・文献の画像などを交えて紹介したり、皇宮生活では、衣食住から婚礼・年中行事までをことこまかに解説したりと、至れり尽くせり。 いくつかの賞を受賞しているというだけあって、きわめて完成度が高く、紫禁城と清代の宮廷・皇室について詳しく知りたい人にお勧め。補助教材としての使用にも十分に耐えるだろう。

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中国家庭美食(北京蟻巣科技有限責任公司出品、北京大学出版社出版)

「料理の鉄人」や『中華一番』などのテレビ番組や漫画の影響で、中華料理に興味を持つ人が増えているようだ。そんな人にお勧めなのが、この『中国家庭美食』、中国各地の料理について幅広く紹介したソフトだ。日本語Windowsでも動作する。

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内容は盛りだくさんで、包丁の使い方、調理方法(以上は動画付き)、食材・調味料の紹介から、各菜系の紹介、さまざまな中華料理の写真とレシピまで載っている。紹介されている調理の種類も百種類以上にのぼり、それをピンイン、料理方法などの分類に従って閲覧できる。料理紹介には、中国五大菜系、北京・上海・台湾・四川・広東の分類が表示されていて、それぞれの方言で料理名などの発音を聞くこともできるので、方言入門教材にも打ってつけ(?)。 傑作なのがオートプレー機能で、延々と自動で料理の画像が切り替わり、料理名を読み上げてくれる。何のための機能だかよくわからないが、おいしい中華料理を食べたくなる効果だけは確認済みだ。

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中国歴代銭幣(安徽教育出版社)

中国古今の貨幣を集めたCD-ROMカタログ。日本語Windowsでも動作した。先秦の貨幣から民国・人民共和国の硬貨・紙幣までが、時代順に約6000点の画像で紹介されている。解説文も豊富で、朗読機能も付いている。 面白いのは、貨幣の画像とともに等級・市場価格(?)が表示されること。おそらくは中国国内の古銭コレクターを狙ったソフトなのだろう。

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三国演義(富森科技有限公司)

四大奇書CD-ROMシリーズの一つ。ここで紹介するのは台湾の繁体字版だが、大陸からも同じソフトの簡体字版が発売されている。どちらがオリジナルかは確認していないが、台湾で見かけたほうが早かった気がする。これに限らず、近頃は台湾・中国のソフトハウスが共同開発したり提携したりする例は多い。

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さて、この『三国演義』は子供向けのストーリー概説ソフトだ。物語全体を42回にわけて、紙芝居のように絵とごく簡略化された物語紹介、その朗読で進行する。どこまで読み進んだかを記憶させる、ブックマーク機能もある。また、「風雲人物」では主要登場人物の絵を見ることができる。原画は、湖南美術出版社の提供。